赤い指  東野圭吾

イメージ 1 先に「嘘をもうひとつだけ」を読んで、何となく加賀刑事に好感を持ったので、この作品を読んでみることにしました。でも、加賀さんはもっと前からの登場だったんですね~^^;
 妻からの動転した電話で家に帰った前原は、庭に幼い少女の遺体が置かれているのを発見します。犯人は最初から分かっていて、その犯人をどうやってかばうかが焦点になっています。警察をごまかしきれないと思った前原のとった行動は…。
 前原は、姑と不仲の妻、引きこもり気味の息子、認知症の母親の4人家族です。認知症だった父親と、母親の介護や、母と妻との関係、息子がいじめを受けていたことなど、家庭内のさまざまな問題をすべて人任せにしてきた結果、起きた事件だとも言えます。
 あまりにもこの家族の行動が短絡的なので、腹が立ったり、納得できないところもあるのですが、それは自分の身に振り向けて考えてないからなのかも知れません。考えたくないけど、自分の家族に何か問題が起きてしまったら…?
 事件を隠蔽しようという必死の気持ちも家族のつながりからですが、最期にその工作が破綻してしまうのも家族のつながりからなんですね…。
 
「この家には、隠された真実がある。それは警察の取調べ室で強引に引き出されるべきことじゃない。この家の中で、彼等自身によって明かされなければならない」
最期まで、前原の方から真実が明かされることを願って行動した加賀は、刑事として様々な事件に出会って、中にはとんでもない犯人もいたはずですが、人の善意を信じることを第一にして捜査を行っているのだなあと思いました。

この事件と平行して、死を目前にした父親に会おうとしない加賀の様子が描かれます。冷淡ともいえる加賀の様子が、短編集で感じた雰囲気と違っていたので、これは過去によほどのことがあるのかなあと思っていましたが、実はそんなことがあったとは…。加賀さんはやはり私が感じた通りの人でした^^将棋のエピソードにはじーんと来ます。

加賀さんが出てくる他の作品も読んでみたくなりました。
名前のせいで、どうしても頭に鹿賀丈史さんの顔が浮かんでしまいます^^;加賀さんはもっと若いって分かってはいるのですが…w