シーソーモンスター 伊坂幸太郎
「シーソーモンスター」と「スピンモンスター」の中編二本立てです。
共通なのは、世の中には「海族と山族」がいて、本人は知らなくても因縁の対立をするようになっているという設定。
あと共通の登場人物もいます。でも、ストーリー自体に直接の繋がりはありません。
「スピンモンスター」は近未来の話なので。
「シーソーモンスター」
北山の嫁宮子は、姑とそりが合わず、対立してばかりいるので、間に挟まれた北山は大変な思いをしていました。
普通に嫁姑問題の話かと思えば、そこは伊坂さん、話は一気に別の方向へ転がっていきます。
宮子の職業や、姑との意外な繋がり、窮地に陥る北山の救出劇など、活劇調に物語は描かれます。ラストは伊坂さんらしい気持ちの良さです。
「スピンモンスター」
物を運ぶ仕事をしている水戸は、わけも分からないまま自分が警察に追われていることを知ります。同行する中尊寺は、解決方法を知っているようなのですが…。
水戸を追う側にいる桧山は、子供の頃水戸と因縁があり、お互い顔を合わせるのも辛いと思っている関係です。
しかし、水戸の本当の敵は警察ではなく、情報を操る大きな存在でした。
私はここで、ターミネーターのスカイネットを思い出しました。ターミネーターこそ送り込んで来ないものの、敵は情報を操作して2人を窮地に陥れます。
水戸と中尊寺は健闘しますが…。桧山がそこに関わって来ます。
こちらは「シーソーモンスター」とは違い、もやっとする終わり方でした。
伊坂さんの中では読みにくい部類に入る気がするので、人によって評価が分かれそうです。
海族と山族の関係も、この物語に効果的な設定だったのかな?と思いました。