骸の爪  道尾秀介

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真備シリーズ第二弾です。
取材のために仏所瑞祥房を訪れたホラー作家の道尾は、笑う千手観音と頭から血を流す仏像を見ます。また、「マリ…」という謎の言葉も耳にします。道尾から相談を受けた真備と助手の凜の3人で再び瑞祥房に向かいますが、仏師が姿を消した上、残された人々にも不穏な空気が。過去にも仏師が行方不明になった事件があり、それが今回のことと関わっているらしいのですが…。

一作目の「背の眼」では京極夏彦ぽいなあと思いましたが、この作品はそういう感じはしませんでした。仏像&焼き物についてかなり詳しく書かれていましたが、私の地元は焼き物で有名なので、かなり身近なテーマでした。窯元が家の近くにもたくさんあるし、登り窯も少し足をのばせば見ることができます。でも、仏像じゃなくて茶器とかが中心ですが…。

今回は登場人物が多いので、すぐに犯人が分かるわけではありません。でも、登場人物が不用意に漏らすつぶやきで、「この人絶対何かやってる!」と思いますよね^^;全然部外者が来ているというのに、いくら動揺したからといってそこまで不注意なのかなと思いました。それで事件の一部の予想はつきますが、もちろんそれだけでは終わりません。道尾さんの持ち味二転三転が終盤に炸裂します。
まさかそんな人が…え、やっぱりそっち? そして最後にえええ;;みたいな><
柘榴の葉についてですが、過去の事件の罪を後悔させるのに何でこんな年月が経ってから…と思うのですが。でも軽い気持ちでやったことがこんな結果になってしまったのはつらいですね。
それにしても仏像が血を流す真相は…よく見たら分かるんじゃないかなあ…。想像してたらちょっと寒くなってきたんでこの辺で^^;

遺体の行方についてはこれしかないかなと思っていましたがやっぱり予想通りでした。でも仏像の手首のこととか、あんまり気にしてなかった出来事が伏線になっていて、それがつながった時にはなるほど~と思いました。
「マリ」「りゅうぞう」など、おなじみの言葉へのこだわりも見られます。読みながら「獄門島」の「き違いじゃが仕方がない」というのを連想…。お坊さんが出てくるとか背中に何かしょってるとかそういうのが関係したんでしょうね^^;
だけど「か○」と「か○」ってイントネーション違うけど…声がくぐもってたから分からなかったんでしょうか^^;

そういえば今回は謎の出来事にも全て合理的に説明がつくし、霊現象の探求には至りませんでしたね。真備の本来の目的から考えると、やはりそっちの路線も残しておいてほしいなあと思いました。

気になったところはあるものの、仏所という舞台設定を生かした、なかなか読み応えのある作品だったと思います。
これでやっと「花と流れ星」に行けます^^