9の扉

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次の作家さんにお題を渡して、それにちなんだ物語を書いてもらうリレー短編集です。作風に一癖ある、個性的なメンバーが揃っています。
作品ごとに字体が異なっているのがユニークです。装丁もタイトルに合わせた感じです。

「くしゅん」 北村薫
北村さんらしい幻想的なお話です。でも何でくしゃみなの~と思ったら落語との関連だったんですね。

「迷い猫」 法月綸太郎 (猫)
飼い主と入れ替わった?猫の飼い主捜索譚です。名前のあたりはなるほどと思いましたが、ラストがよくあるパターンかな…

「キラキラコウモリ」 殊能将之 (コウモリ)
「きらきら星」の替え歌、「カラスと机はどこが似ているか」の問いで、これは「不思議の国のアリス」なんだな~と気づきました。それを頭に置くと、登場人物がお茶会のメンバーだと分かりますね^^ウサギが時間を気にしてるとか、メンバーの特徴を生かした設定が面白いです。

「ブラックジョーク」 鳥飼否宇 (芸人)
さすが鳥飼さん、芸人ネタをうまくさばいてくれてます。題名通りの展開もいいですね。でもラストの台詞、永井の「やまむん~」にした方が良かったんじゃないでしょうか。

バッド・テイスト」 麻耶雄嵩 (スコッチ)
15年という年月に二重の意味を持たせたところがうまいですね。でも、出てくる男の趣味がほんとに悪趣味で、作品として好きになれませんでした。

「依存のお茶会」 竹本健治 (蜻蛉)
竹本さんの作品は初めて読んだので、「こんな作風…?」と意外でした。アリスのお茶会ってことで殊能さんの作品ともリンクしてるんでしょうか。

「帳尻」 貫井徳郎 (飛び石)
同じ出来事からスタートしても、こうまで違うとは…。 何とも皮肉な結末でしたが、面白かったです^^

「母ちゃん、おれだよ、おれおれ」 歌野晶午 (一千万円)
二転三転する真相が楽しめる、歌野さんらしい技巧派作品でした。貫井さんの話のその後がこうなるなんて、貫井さん本人も驚いておられましたね。

「さくら日和」 辻村深月 (さくら)
これもダブルミーニングの妙が楽しめます^^北村さんの作品とうまくリンクしてまとめたところがいいですね。

ラスト3編が特に良かったと思います。殊能さんのはストーリーより設定が気になりました(笑)あとがきがラストの辻村さんから逆にリレーしてるのも面白かったです。
リレー小説ということで、個性的な作家さんの面々も、少し抑え気味な感じがしました。でも、こういう企画は楽しいですね^^他の作家さんでまた読んでみたい気もします。