動機、そして沈黙  西澤保彦

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初出1995年から今年の作品まで、西澤さんが「あまりロジックには重点を置いていない」(あとがきより)という作品を収録した作品集です。
西澤さんの作品はあまり読んだことがないのですが、こんな感じのが多いんでしょうか^^;表紙の雰囲気通りのブラックさでした。

「ぼくが彼女にしたこと」
交換殺人を持ちかけてきた男が殺され、主人公は、その犯人は自分の父だと思うのですが真相は?
順子が実際に小さい頃そういう目に遭っているなら、絶対にしそうにない手口だったと思うのですが…。もっと簡単に復讐できるやり方がいくらでもありそうです。黒石の死の理由も曖昧で納得できなかったですね。

「迷い込んだ死神」
死に場所を探しにやってきた樫村は、ある洋館にたどり着きます。そこで殺人が次々に。
ラストの展開にはけっこうびっくりしました。でも、樫村は偶然やってきたのに、そんなにうまく物事を運べるものなのでしょうか^^;皮肉さを含んだ題名は○ですね。

「未開封
同じ名前の人間が殺される連続殺人事件。スプラッターで、フェティッシュで、エロティックな作品です^^;なんでそこまで未開封にこだわるのか…そこがまたフェチなんでしょうね。でも、そういう嗜好はさっぱり分かりません^^;
登場人物の名前が変わってますね。テーマがテーマだけに、他にいそうにない名前にしたんでしょうか。

「死に損」
殺された女性を乗せたタクシー運転手が事情聴取されます。犯人だと思われるのですが、動機がはっきりしません。
過去のトラウマと偶然が重なってしまった悲劇なのですが、いくら腹が立っていたからと言っても、タクシーの中で女性が言う台詞としては過激すぎるような気がします^^;

「九のつく歳」
捜査のために現れた刑事は、主人公しか知らないような個人的な事柄を事細かに知っていました。その理由は?
この短編集二度目のレズビアン設定です。西澤さんが興味があるテーマなんでしょうか^^;ストーカーによって隠された犯罪が暴かれる展開は面白かったです。

「動機、そして沈黙」
平成の切り裂きジャックと呼ばれる殺人犯の犯罪が時効を迎えようとするその日、捜査していた刑事とその妻が事件を推理するアームチェア・ディテクティヴものです。
あくまでも想像の域を出ない推理なのですが、これが事実だったら相当ブラックですね^^;単なる一事件として考えていたものが、思いがけず自分の身に降りかかってくる恐怖です。

う~ん、アクの強い短編集でした^^;ミステリ部分とは特に関係のない設定にちょっと閉口しました。でも、これが西澤さんの持ち味なのかも知れません。
西澤さんの作品ではどれがおすすめなのでしょうか。ご存じの方教えて下さい^^