スラムドッグ$ミリオネア  監督 ダニー・ボイル

インドのムンバイ(旧ボンベイ)のスラムで生まれ育った無学の青年ジャマールは、「クイズ$ミリオネア」に出演し、ついに最終問題の前まで到達します。しかし司会者に不正をしたと疑われて、警察に逮捕されてしまいます。

皆さんご存じと思いますが、2008年のアカデミー作品賞を始め、数々の賞を獲得した作品です。
クイズ$ミリオネア」と言えばみのもんたさんの司会で有名なクイズ番組です。オリジナルはイギリスですがインドでも放送があったんですね。音楽も日本の放送と全く同じです。この映画の司会者役の人は、みのさんに雰囲気の似た食えない司会者ぶりです(ほめてる)
この司会者は陰でジャマールを脅したり、嘘の答えを教えたりして邪魔をしますが、ジャマールは実際の知識と勘で乗り切っていきます。なぜジャマールは答えることができたのでしょうか?
このあと少しネタバレあります。












警察では拷問を受けたり大変な目に合いますが、警察官の尋問に答える中で、ジャマールの過去が明らかになります。
最初にスラム街の中で、ジャマールと兄のサリームが元気いっぱいに過ごしている様子が描かれます。しかしイスラム教徒を迫害する勢力により、兄弟は母親を殺され、同様に孤児になったラティカとともに自分たちの力だけで生きて行くことになります。ごみの山をあさる3人の姿と、始めの明るい様子とが対照的です。

高層ビルに囲まれたスラムの様子には激しく違和感を感じました。ジャマール達が出会ったような人身売買はきっと今でも行われているのでしょう。近代化が進む一方で、貧富の差が激しいインドの社会が持つ暗黒の部分が、彼の過去を追うことによってあぶり出されています。そんな中、兄弟は泥棒、スリ、嘘っぱちの観光案内などをしながらたくましく生き抜いて行きます。しかしラティカとは生き別れ、サリームは裏社会のボスの手下となって、三人は別々の道を歩むことに…。
ジャマールはラティカが番組を見ることを信じて、「クイズ$ミリオネア」に応募します。

彼がクイズに答えることができたのは、そんな過酷な生活の中で身につけた生きた知識のおかげだったのです。また、彼を支えたのはラティカへの思いと、陽の当たらない場所をあえて選んだサリームでした。時々ろくでもないことをする兄ですが、ジャマールが本当に危機に陥ったときに助けてくれるのもやはり兄なんですね。それは子供の時も大人になってからも変わりません。弟のいる人は、兄の損な役回りと弟への気持ちがよく分かるのではないでしょうか。

ジャマールの話を信じた警察官のおかげで、彼は釈放され最終問題に挑むことに。インド中の人の注目と声援を受け、彼はミリオネアとなることができるのでしょうか?それはぜひ見て確かめて下さい。

英米合作の映画ですが、舞台がインドだということで、インド映画らしくエンドロールとともに登場人物のダンスがあります^^;それが何ともこの映画と雰囲気が合ってなくて笑えます(笑)
でも、さすがアカデミー賞作品と言っていい、素晴らしい内容だったと思います。まだ見ておられない方はぜひ!