ここに死体を捨てないでください!  東川篤哉

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人を殺してしまったと妹から連絡を受けた香織は、死体を何とかして処分しようと思い、たまたま目についたコントラバスケースを運搬していた鉄男にむりやり協力させることに。一方で、探偵の鵜飼は約束していた依頼人がいっこうに現れないため、留守電に残された「クレセント荘」という言葉を頼りにそこを訪れるのですが…。
 
烏賊川市シリーズ第5弾です。といっても、読んだのはまだ2つ目ですが。でも、このシリーズがめざしている路線は2作でじゅうぶん理解できました。お笑いの中に伏線がうまく張られていて、笑っているとその伏線を読み逃す可能性大です^^;表紙に出てる看板も変ですよね…(笑)
 
騙して楽器のケースだけ手に入れるつもりなのかなと思っていたのですが、鉄男に協力させようとするところがいきなり無理な感じです^^;鉄男があんなお人好しじゃなかったらどうするつもりだったんでしょう…。普通引き受けないですよね。また、妹がほとんど事件の蚊帳の外に置かれるところも気になりました。
クレセント荘で鉢合わせした鵜飼たちと、香織&鉄男がお互いを犯人と思いこみ、その考えに従って行動するのが笑えます(笑)
志木刑事と流平の扱いが気の毒^^;志木刑事なんて、途中から全く出てこなくなる始末です。でも、その報いか砂川警部は今回ほとんど活躍できませんでしたね。
 
死体を乗せた赤いミニクーパーはどこへ行ってしまったのか、という謎と、新たな殺人事件にこんな関わりがあったなんて…。なかなか大がかりなトリックですね。「○○」と「○○○」を引っかけたところも巧いと思いました。
ラストに吊り橋の所で犯人が受ける報い、初めて姿を現した○○○○の恐ろしさも相まって、印象的なシーンになっていました。こういう現象を知ってはいましたが、それがさらにミニクーパーにつながっているところにも感心させられました。
それにしても、犯人と対峙するこの緊迫したシーンでの「ちっちゃいエグザイル」には爆笑(笑)面白すぎます^^;
あと、被害者がなぜ香織の妹の部屋にやって来たのかについてもなるほど、でした。
偶然がいっぱいの物語ではありますが、トリックに関わるところではきちんと筋が通っていて、納得できる内容なのはさすがです。
 
上げた手が当たってすっ飛んでいくようなベタなお笑いでいっぱいですが、本格と言っていい優れたトリックが楽しめる良作でした^^