かのこちゃんとマドレーヌ夫人  万城目学

イメージ 1
かのこちゃんは元気な小学一年生の女の子。マドレーヌ夫人はその飼い猫でアカトラです。それぞれの日常と、出会いと別れを描いた作品です。
センスの良い装幀はクラフト・エヴィング商會です。
 
はじめの猫集会のシーンにまずにんまり^^まるで有閑マダムの集まりのごとく、「ごきげんよう」と優雅な会話が交わされます。名前も和三盆、ミケランジェロと、飼い主の様子まで思い浮かぶような感じです。
私がずっと前に見た猫集会は白黒の猫ばかり7,8匹いて、あれは家族会議だったのかも知れません^^;
マドレーヌはその毛色からかのこちゃんがつけた名前ですが、「夫人」は猫たちからつけられた呼び名です。立ち居振る舞いの優雅さと「外国語」が話せること、そして夫がいることです。
夫との心の通い合い、しみじみとした愛情には胸を打たれます。ラスト近くの夫との会話には思わず涙してしまいました。残っている写真が、「揃ってあくびしている写真」なのもいいなあと思いました。
マドレーヌ夫人の不思議な体験は、独立したエピソードなのかと思っていましたが、あとで思わぬつながりを見せます。この展開巧いですね。
 
一方、かのこちゃんの名前の由来には他の作品とのリンクが!そちらの本は読んでいないのですが、登場人物は知っているのでなるほど~と思いました。
かのこちゃんと親友のすずちゃんの日常は、いかにも小学1年生らしくてほのぼのさせられます。茶柱のことや、「ゴリラじゃないやつ」、「ござる」を駆使したお茶会には笑ってしまいました。子どもって言葉にこだわるし、面白い言い回しには特に敏感ですよね。あと「鼻てふてふ」も…(笑)
「智恵を啓いた」かのこちゃんですが、別れを通して、さらに一歩成長したんですね。ラストのマドレーヌ夫人への接し方を見ているとそう思います。
マドレーヌ夫人がどういう選択をしても、それはそれでハッピーエンド、という気がしたのが不思議でした^^
 
読むと心がふんわりと温かくなる、そんな素敵な物語でした。猫が好きな人はもちろん、子どもが好きな人、昔子どもだったすべての人におすすめです^^