プロムナード  道尾秀介

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道尾さんの初エッセイ集です。「月の恋人」と並んでいたのですが、キムタクの顔がちらついてどうも読む気になれず、エッセイ集の方を買いました。「月の~」は中古か文庫になったら読もうかな…。
 
ブログに載っていた話題もいくつかありましたが(領収書の話とか…)学生時代の思い出などなかなか面白かったです。
道尾さんは高校生の時、金髪、長髪、耳に安全ピンというとがった学生だったようで^^;自由な校風なのか、道尾さんの自己主張が激しかったのか分かりませんが。栞を好きな女の子に渡した話は、若さゆえの身勝手が初々しいですね。○○が出てきて女の子も困ったでしょうに、冷蔵庫に入れるとはいい子だなあと^^
 
印象的だったのは十円玉の話と、日蓮聖人の言葉の話、金田一シリーズの舞台を訪ねた話などです。何度か出てくる、パスカルの「時間がないので長文になりました」という言葉も心に残りました。
ピーター・フォークさんの現在についてはこのエッセイで初めて知り、ショックでした。2007年製作の、ニコラス・ケイジ主演の映画「NEXT」に出演されていて、元気に活躍されていることを疑ってなかったので。
 
道尾さんが好きな映画や本について書かれたエッセイは興味深かったです。「ランボー」はアクション物が苦手なので見てないですが、なかなか良いシーンや台詞があるようですね。いつかTV放送があったら見てみようと思います。
好きな本格ミステリ三作に「十角館」が入ってるのは当然ですが、「夏草の記憶」が入ってるのは意外でした。これは私も9割方良い作品だと思いますが、ラストが趣味が悪いなあと…。確かにここが叙述トリックの肝心なところではあるのですが。
 
その他、17才の時に書かれた絵本と、19才の時に書かれた戯曲が載っています。戯曲のラストシーンの謎の解答が自分でも分からないと書いておられますが、最後に出て行ったのは誰か、ということなら明白なのでは…と思ったのですが^^;そんな単純なことではないのかも。エッセイや過去の作品を読むと、道尾さんがけっこうロマンティストであることが伝わってきます。
 
私はエッセイはあまり含蓄がない話の方が好きなので、ちょっといい話風にまとめられたものよりも、著者の日常があっさりと書かれたものの方が好きです。このエッセイは半々といったところでしょうか。