機械探偵クリク・ロボット  カミ

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フランスきってのユーモア作家と言われたカミのユーモアミステリです。ギリシャアルキメデスの子孫である、ジュール・アルキメデス博士が発明したクリク・ロボットが、備わった数々の装置を駆使して事件を解決します。

ツイッター早川書房のアカウントをフォローしているのですが、この本の紹介のツイートを読んで読みたくてたまらなくなりました。図書館にも入ってないし思い切って購入しました。
中編が2作載っているのですが、クリク・ロボットシリーズはこの2作しかないそうです。あ~もっと読みたかった…。
古くからのイメージ通りの四角いロボットなのですが、頭にはチロリアンハット、パイプをくわえて、洋服を着ているところが何とも小粋です。2ページおきくらいに入っているイラストはカミ自身が描いたもので、いかにもフランス風でとぼけた味わいがあって楽しいです^^
SFに出てくるロボットはたいていAI搭載で自分で判断して行動しますが、クリク・ロボットはアルキメデス博士が状況に合わせて設定したり操作することによって機能します。「推理バルブ」「短絡推理発見センサー」「思考推進プロペラ」「自動式指紋レコーダー」などの装置を備え、推理は装置によって収集した証拠や、博士が打ち込んだ手がかりを総合して数学的に処理され、解決が導き出されます。でも、なぜか推理は暗号文で出てくるので、それを解読しないといけないのです…^^;だから、ほんとの探偵は博士の方なのかも。

「五つの館の謎」
巨大な庭園の中で、銃声が響き、なぜか頭にナイフが刺さった男が発見されます。ナイフの持ち主が疑われますが…。
のっけから、死にかけた男がまだしゃべれるのに「もう死んでるから」と言って証言を拒むのがおかしいです^^;クリク・ロボットのユニークな機能がどのように事件解決に役立つのかいろいろと披露されるので、それが楽しいです^^ 作者のシャレが随所に載っていて、訳者の苦労がしのばれます^^;特に「自動(オート)銃弾嘔吐システム」には笑いました(笑)クリクが導き出した解決の暗号が日本人に理解しにくいので、わざわざ日本用とオリジナルの暗号と解決編が別々に載っています。このあたりも大変だったでしょうね~。

パンテオンの誘拐事件」
偉人達を祀る霊廟として知られるパンテオンから、ヴォルテールやルソーなどの偉人の遺骸が盗まれます。犯人からは莫大な身代金の請求が。
誘拐したのが生きている人間ではないというのがユニークです。(そのうち生きている人間も誘拐されますが…)
「ABC殺人事件」を彷彿とさせるおかしな名前の登場人物や、新婚旅行で墓地巡りに来た変な夫婦のまどろっこしい証言など、笑えるポイントがいっぱいです。また、アメリカ人への皮肉な視点が感じられるのがお国柄なのか、時代柄なのか…。
こちらは歴史ミステリ&冒険の味わいもあり、前作よりストーリー的に楽しめます。ただ、肝心のクリク・ロボットの活躍が少なく、主に活躍しているのはアルキメデス博士なのが残念です。

クリク・ロボットのキャラがいいので、早川ではツイッターのアイコンとして配布してるほどです。(例のオート嘔吐システムの絵ですが…それが下の画像です^^;)読んだらきっとクリクのファンになること請け合いです^^

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イ、イラストが(笑)。銃弾を吐いたやつですね。ツイッターのアイコンで配布されているのですか?知らなかったー。本当の探偵は博士だというのは同感です(笑)。二話でチェック柄の服に変わったのも笑えました。。。 削除

2014/4/21(月) 午後 11:46 ゆきあや 返信する
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>ゆきあやさん

ハヤカワミステリで出版当時、配布されてたんですよ。それをもらいました^^それぐらいイチ押しだったんでしょうね。
かわいい表紙になって人目を引くようになったし、文庫化を機会に、ぜひたくさんの人に読んでもらいたいです^^ 削除