ミレニアム2火と戯れる女・3眠れる女と狂卓の騎士 スティーグ・ラーソン

        イメージ 1 イメージ 2 イメージ 3 イメージ 4
 
2を読んだ時点でレビューを書こうと思っていたのですが、読み終わってみると、一つの事件が完結した1と違って、もろに(続く)という感じの終わり方でした。それで一気に3まで行くことにしました。2は上下を3日で読んだというのに、3の上に時間かかりすぎました…でも3の下で拍車がかかり、下は2日で読みました。
 
リスベットは、1でヴェンネルストレムの違法行為の証拠をミカエルに与え、自分はヴェンネルストレムの口座から莫大なお金を手に入れました。しかし女性関係の絶えないミカエルとは距離を置くことに。ミカエルはリスベットのためには尽力を惜しまず、頼りになる記者なのですが、今ひとつ女性にとって感情移入できないキャラなのは、やはりこの物語の主人公がリスベットであるということなのでしょう。
 
2でまず発端となるのが出版社「ミレニアム」のメンバーであるダグとその恋人が殺される事件です。ダグが書いていた記事は、ロシアからの亡命スパイであるザラチェンコの周辺人物へとつながっていました。この事件と並行してリスベットが「最悪の出来事」と呼ぶ過去の事件が明らかになります。リスベットが子供の時なぜ何年も精神病院に入っていたのか、そしてその背後にある恐るべき陰謀もしだいに明るみに出ます。
2ではおもに事件の背景を明らかにし、リスベットがそれに立ち向かう様子が描かれています。3では拘留されたリスベットの裁判と、彼女を無罪にするために奔走する人々の姿が中心です。
特に3の下で展開される、ミカエルの妹である弁護士アニカの弁論には圧倒されます。追い詰められていく精神科医や検事の様子を見て快哉を叫びたくなります。小気味よい展開というのはこういうのを言うのでしょう。
 
物語を通して感じるのはリスベットの強さです。過酷な状況にあっても自分の意志を貫き戦おうとする姿には感銘を受けます。しかし、彼女を支える人達なくては、自由獲得はなし得なかったでしょう。リスベットもそのことに気づき、感謝の気持ちをもつことができたのは、彼女の人間的成長だと感じました。
 
リスベットの双子の妹が名前だけしか出てこなかったので、きっと4の構想があったのだと思いますが、作者が亡くなったため残念ながらそれを読むことはできません。登場人物は多いし、名字や名前が同じ人もけっこう出てきて苦労させられますが、それを補って余りあるリーダビリティでした。
映画も1だけ見たのですが、これは2と3も見なくては…と思っています。