トロイメライ  池上永一

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琉球王国那覇の都で岡っ引きである筑佐事として働く武太(むた)が出会う様々な事件と出来事を描いた連作短編集です。よく見ると表紙にメインキャラ達が登場してますね^^
これは「テンペスト」の番外編とも言える作品なので、「テンペスト」を読んでからの方が絶対に楽しめます。作品ごとに「テンペスト」のキャラが顔を出しています。だんだんと脇役からメインキャラへと移り変わって行くので、期待度が高まります。あなたの好きなあのキャラも登場するかも…?

武太は三線の名手ではあるものの、定職に就かずふらふらしていました。それを見かねた涅槃院の住職大貫長老が世話をして筑佐事になったのですが、その恩ある長老にも「インチキ坊主」と失礼なことを言い、煙管で打ち据えられる困った人です。大貫長老が武太を打つ時の「お前が憎いっ!」という台詞がインパクトあります(笑)ほんとは憎んでるんじゃないんですが^^;大貫長老と武太のやり取りにはあちこちで笑わせられます。他にも一流の料理の腕を持つ「鍋・竈・甕」の三姉妹(すごい名前^^;)、義賊黒マンサージ(手巾)、ジュリ(遊女)の魔加那など魅力的なキャラが数多く出てきます。中には「テンペスト」のキャラと思わぬつながりがある人も。三姉妹が作る絶品料理も気になります。

特に心に残った章は、親に売られた子供達の交流を描いた「イベガマの祈り」、小さい頃可愛がってくれたサチが亡くなり、墓に入れるよう武太が奔走する「唄の浜」です。武太が三線で奏でる琉歌があちこちに挿まれ、それがいい雰囲気を醸し出しています。武太が事件を通して、人間的に成長する様子も見所です。
豪華絢爛な宮廷絵巻だった「テンペスト」ですが、「トロイメライ」は庶民の暮らしがありのままに描かれています。つらい現実もあるものの、人々の逞しく生き抜く力を感じられるところがいいです。

トロイメライ」というと、下校時によくかかってたちょっともの悲しいあの曲を思い浮かべます。ドイツ語で「夢を見る」という意味であるこの題名は、今は無き琉球王国が繁栄していた頃の活気を夢想するという意味なのかもと思いました。




テンペストとのリンクに興奮しました^^
装丁から すっごくいいですよね~
作品を読んでから これはこの人かな~なんて ひとしきり楽しめました。
TBさせていただきます~ 削除

2011/3/16(水) 午後 11:31 tammy 返信する
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>tammyさん
読んでから楽しめる装丁でしたよね^^「テンペスト」のキャラが出てくるにつれ盛り上がりますね~♪池上さんの作品はほんとにキャラ立ちしてますよね。 削除

2011/3/19(土) 午前 0:22 ねこりん 返信する
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トロイメライ』の意味を本書のカバー折り返しの説明で初めて知りました。そこ読んだのが読み終えた後だったので、タイトルの意味にずっと首を傾げてたんですよね^^;
個性的なキャラが多くて楽しく読めました。2も楽しみですね^^ 削除

2011/4/19(火) 午前 0:08 べる 返信する
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>べるさん
あの有名な曲を思い浮かべるとちょっと雰囲気が違う気がしますが、意味を知ると、ああそういうことなのかなと思いました。「テンペスト」のキャラは池上さんも愛着がすごくあるんでしょうね。2楽しみですね~^^ 削除

2011/4/20(水) 午後 7:11 ねこりん 返信する