3652 伊坂幸太郎エッセイ集  伊坂幸太郎

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伊坂さんが10年間に発表したエッセイやコメントをまとめたものです。
このたびの地震で、伊坂さんの安否が気になりツイートしたところ、米澤さんが教えて下さったことは別記事で書いたとおりです。私にとって大切な作家さんが無事だったこと、作品が読み続けられることに感謝しながらこの本を手に取りました。

過去のエッセイに今の伊坂さんが脚注という形でコメントをつけています。普通は脚注や附記は読むのが煩わしく感じるのですが、今回はお得感満載でした^^

まず印象的だったのはお父さんについてのエッセイです。伊坂作品の父親像というと、「重力ピエロ」や「ゴールデンスランバー」、「オー!ファーザー」のように、揺るぎない愛情をもった信念の人というイメージです。
エッセイを読むと、伊坂さんのお父さんはその通りの人だったのだな、と思います。
「自分以外の誰かを喜ばせていることが一番幸せ(のように見えた)」
「間違っていることは間違っていると誰かが言わなくてはいけないんだ」
まさに登場人物が語りそうな台詞です。脚注で「失敗したのは、これを読むと父が好人物にみえてしまうところですよね(笑)」とあるのも、伊坂さんのお父さんに寄せる温かい気持ちを感じます^^
奥さんとのエピソードもいいです。会社をやめて専業作家になるかどうか、という時に、奥さんからかけてもらった言葉が「最高の贈り物」だなんて素敵ですね^^

ブータン旅行のガイドさんと別れた時に寂しくなって泣いてしまった話は、伊坂さんの人柄やものの感じ方が感じられて好きです。嵐の大野君が、沖縄旅行から帰る時に泣いてしまった話を思い出しました。そう言えば、二人とも初対面の店員さんと仲良くなるエピソードありますね~。(こないだの「嵐にしやがれ」で言ってました)このブータン旅行が「アヒルと鴨のコインロッカー」につながるんですね。

「魔王」についてのインタビューは前に読んだことがあったのですが、こちらのエッセイも興味深く読みました。伊坂ファンの中でも賛否両論あるこの作品ですが、私はとても好きです。政治に関係する物語ではありますが、それがテーマではないことは感じていたので、このエッセイを読みながらそれを再確認しました。

映画や本についても多く書かれています。黒沢清さんの映画がお好きだそうです。私は「CURE」しか見ていませんが、これは怖い映画でした。役所広司さんと萩原聖人さんの熱演も光りますが、とにかくストーリーが怖いです。脅かし系のホラーの怖さではありません。深層心理をえぐってくるような内容でした。いまだに心に残ってます。怖いけどまた見たくなってきました。

伊坂さんが津原泰水さんのファンとは知りませんでした。本多さんファンであることは知ってましたが。打海文三さんの作品は読んだことがないですが、「ぼくが愛したゴウスト」はこれだけ伊坂さんがおすすめなら読んでみたいと思いました。ミルハウザーを薦めておられたのも嬉しかったです^^

あと、毎回かなり必死でネタ探しをして現在も継続中の「干支エッセイ」にはちょっとムリヤリ的な雰囲気も伝わってきて笑いました(笑)

どのエッセイも伊坂さんという人の素直で気持ちの良い人柄がにじみ出るような、ほっこり温かい気持ちにさせられる素敵な本でした^^



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映画ネタとかは全然ついていけなかったです^^;干支エッセイ苦しんでましたね~。でも、なんだかんだで苦しみつつも楽しんで書かれているような(笑)。どのエピソードからも伊坂さんの優しくて温かい人柄が滲み出ていて、温かい気持ちになれるエッセイでしたね^^ 削除

2011/3/25(金) 午前 0:07 べる 返信する
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脚注は邪魔というよりもいいネタが満載でお得感タップリでしたね。それぞれの作品に関する考え方や過程などが見えると、違うアプローチで読んでみたくなります。と言いながらなかなか再読しませんが(笑)
伊坂さんの好青年ぶり前回のエッセイでしたね。干支はたしかに無理がありました(笑) 削除

2011/3/25(金) 午後 3:43 [ テラ ] 返信する
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>べるさん
私も反応できたのは「CURE」と「アメリカン・ビューティー」くらいです^^;前にあまり読まないジャンルの本を伊坂さんが絶賛していたということで買ってしまいましたが、今回もまた買いそうな予感です^^;ほんのちょっとのコメントにも人柄が出ていて微笑ましい気持ちになりました^^ 削除

2011/3/25(金) 午後 6:01 ねこりん 返信する
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>テラさん
脚注良かったですね^^現在の伊坂さんの様子や心情が垣間見られて楽しかったです。実はまだ読んでない作品があるんですよ~。実は有名なあの作品も…^^;でもこれから読む楽しみがあります^^干支はかなり駄洒落や小咄路線を突っ走ってましたね(笑) 削除