ハリー・ポッターと死の秘宝part2  監督デイビッド・イェーツ

原作は発売されるたびに買って読み、映画もほとんどを劇場で見てきましたが、この思い入れあるシリーズがとうとう完結ということで感慨深いものがあります。足かけ10年、「賢者の石」では小さかった主要キャスト達も、もうすっかり大人になりました。
ロン役のルパートは子供の頃そのまま大人になった感じ、ハリー役のダニエルはがっしりタイプに、ハーマイオニー役のエマは予想通りの美人さんになりました。

今回の見所は、七つに分けたヴォルデモートの魂を収めた分霊箱の行方を探し破壊すること、スネイプの秘密、ヴォルデモートとの最終決戦です。

ここからネタバレになります。未読、未見の方はご注意下さい。
















前回の「死の秘宝part1」では、屋敷しもべ妖精のドビーが死に、旅をしている3人が仲間割れをしてお互いの関係について考えるなど内省的でしんみりとした物語になっていました。でもpart2は1に比べ盛り上がるシーンが多かったです。
グリンゴッツ銀行のシーンはあんなに迫力あるシーンになってるとは思いませんでした。金庫に行くのがイヤになりそうな、コースターで移動する地下金庫、双子の魔法がかけられてどんどん増えて部屋いっぱいになる宝物、金庫を守る巨大な竜と、見所満載でした。
3Dだとこういうシーンは見栄えがしますね。

分霊箱の1つがホグワーツにあることが分かり、ハリー達は学校に戻ります。そこで立派に寮のまとめ役としてがんばっていたのがネビル・ロングボトムでした。グリフィンドールの剣を引き抜いてから、彼の活躍は著しいですね。ホグワーツでの戦いでは中心になって戦います。顔に流れる血も勲章のようです。ロンとハーマイオニーを守り、最後の分霊箱である蛇のナギニを仕留めるシーンは本当にかっこいいです。ネビルも、自分の両親のかたきを討つことができたんですね。頼りない劣等生だった彼の成長は心から嬉しいです。

スネイプは最初からお気に入りキャラで、原作を読んでいる時も、この人は本当は味方なんだと信じて疑いませんでした。ハリーの母親のリリーを心から愛し、その忘れ形見であるハリーを守ることに全てを捧げてきたスネイプ。リリーを愛しながら、ハリーの父親ジェイムズを憎んでいるために、ハリーに対し屈折した態度しか取れませんでした。
死を前にしたスネイプが、「僕を見てくれ…」とハリーの目を見て言うシーンは、全巻通して最も切ないシーンだと思います。ハリーを通して、リリーの姿を見ているのですね。
このシーンが映画では思ったよりあっさりと終わってしまったのが唯一の不満点でした。原作では泣いてしまったのですが、映画では泣く暇もありませんでした。でも、「憂いの篩」の中での回想シーンは、小さい頃からずっとリリーを好きだったこと、リリーを失った悲嘆が伝わってきて胸を打たれました。

ハリーを支えて来た人々が次々に倒れるところはやはりショックでした。知ってはいても、フレッドやリーマスが亡くなってしまうのはつらかったです。ウィーズリー夫人がベラトリックスを倒すところは溜飲が下がりました。それにしてもヘレナ・ボナム・カーターの存在感ってすごいですね。
ヴォルデモート役のレイフ・ファインズはハンサムな顔を一度も出すことなく悪の帝王に徹してましたが、特殊メイク大変だったでしょうね…。ハリーとヴォルデモートとの一騎打ちのシーンは見応えがありました。
戦いのシーンが多かったけれど、間に重要なエピソードを巧く挟んで緩急がつけられ、退屈することなく見ることができました。

映画を劇場に見に行った時にはたいていパンフレットを買います。今回のパンフレットの写真は登場人物が誰も彼も武器を構えています。(杖&剣)やはり最終決戦にふさわしい作りになっているのですね。写真がすごくかっこいいので、これは買いだったなと思います^^

あ~ほんとに終わっちゃったんですね~。単なる一読者である私でさえこうなのですから、青春時代をこの映画の撮影で過ごしたキャスト達は格別の思いだったでしょうね。
シリーズ最後を締めくくる、良い映画だったと思います。初日に見に行った甲斐がありました。