フラッシュフォワード  ロバート・J・ソウヤー

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ひさびさにSFを読みました。やっぱり夏はSFだな~と。この夏まだまだ読みたいです。
ソウヤーは前に「ゴールデン・フリース」「ターミナル・エクスペリメント」を読みました。、前者はすごく面白くて、後者はまあまあ…三冊目はどうかな?と気になるところでした。
フラッシュフォワード」はアメリカでドラマ化され、日本人役で竹内結子さんが出演しています。でも、ミチコの役じゃないのが不思議です。ロイド以外はかなり役柄変わってる印象です。

ヨーロッパ素粒子研究所(CERN)の科学者ロイドとテオは、ヒッグス粒子(リアルで存在すると言われているけどまだ発見されていないらしい)を発見するために大規模な実験を行います。ところが粒子が見つかる代わりに、全世界の人々の意識が数分間21年後に飛んでしまう(フラッシュフォワード)という事故が起こります。未来のヴィジョンを見た人々は、それに従って行動しますが…。

「未来は変更可能なのか」ということがテーマになっています。恋人ミチコとは違う人と結婚しているヴィジョンを見たロイドは、ミチコと結婚すべきかどうか悩みます。全くヴィジョンを見なかったテオは、21年後自分が死んでいることを知ります。自分の死を避けるために、ヴィジョンを見た他の人から情報を集めようとします。素粒子物理学とか用語は難しいですが、エピソードは身近な事柄で、恋愛、サスペンスと興味を惹きつけてくれます。
テオの場合、将来自分の事件を捜査してくれる予定の刑事がまだ子供だったりして、どうにもできない歯がゆさを感じるあたり、巧いなあと思います。

また、フラッシュフォワードの間意識を失うため、その間に多くの死傷者が出てしまいます。ロイドやテオの身近な人達にも被害が出ます。二人は責任を感じ、原因や現状を改善できる方策を探ります。
ロイドは「未来は固定されている」という考えで、自分が取ろうとする行動は自由意志ではなく、すでに決まっていることなんだと考えます。そのために離婚すると分かっている結婚には躊躇してしまうのです。一方でテオは未来を変えることに執念を燃やします。同じ研究をしている科学者でありながら、二人のこの考え方の違いは象徴的です。

未来の章に入り、テオが犯人と対峙するエピソードがはらはらします。他の人々のヴィジョンが実現したのかどうなのか…というのも気になるところです。
フラッシュフォワードの再実験で、ロイドの見たヴィジョンが壮大すぎて驚きます。遠い未来を視野に据えて生きる道を選択することになるロイドと、今の現実を大切にしたいテオ、ここでも二人の違いが表れます。
読みながら、自分にはテオ的な生き方しかできないなあと思いました。相葉君がCMで言ってる、「未来って今をどう生きるかってことじゃないかな」というのが意外とこの本のテーマにぴたりとはまる答えなんじゃないかって思いました。

というわけで気になる3冊目は面白かったです^^次は「さよならダイノサウルス」か「スタープレックス」が読みたいです。