蒼志馬博士の不可思議な犯罪  山口芳宏

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「ミステリーズ」で連載されていた連作短編集です。「殺人光線の謎」だけ雑誌で読みました。読んだ時点で作者の山口さんに感想をツイートして返事を頂いたのですが、「枚数制限が厳しかった」そうです(笑)

このシリーズには探偵が二人登場します。美形で行動派の荒城と、多目的な義手を持つ頭脳派の真野原です。この二人が反目したり協力したりしながら事件の謎に迫って行きます。

舞台は昭和28年、二人と懇意の弁護士殿島(物語の語り手)が憧れている綾子が行方不明になることから始まります。一方で巷では、米兵が謎の焼死を遂げる事件が起こります。そして独自の研究をしていた蒼志馬博士からの犯行声明が…。次々と起こる不可思議な事件の背後にあるものは?

大胆すぎるトリックと、ユニークすぎるキャラで一作目から大ファンになった「大冒険シリーズ」ですが、今回は連作のせいか、おとなしめの印象です。荒城は真面目で、いつもの気障でちょっとずれてる感じがなかったし、真野原もあまり変じゃないです^^;義手も実用的な機能がメインです。真野原の全国の糊をかぎ分ける特殊技能とか変な能力も出てきません。何でも知ってますという感じの神憑り的な推理力は披露されてますが…。シリーズファンとしてはちょっと寂しいですね。

私は荒城ファンなので、「殺人光線の謎」で荒城が活躍したので嬉しかったです^^いつも真野原においしいとこを持って行かれてたので…。でも、結局途中から全然活躍しなくなるのはいつも通りでした。そういう役回りなんですね~^^;でも荒城にはいろんな意味でハラハラドキドキさせられます。

派手な演出こそありませんが、驚きの叙述トリックや、今では見慣れてる製品(当時は珍しい)の機能を凶器として使う面白さが楽しめます^^
あと、ラストの探偵二人のちょっとしたエピソードに微笑ましくなります^^

このシリーズが復活したのは嬉しいので、次回はもっといろいろ羽目を外してほしいですね(笑)