告白  監督 中島哲也

原作を読み終わって、さっそく映画の方も見ました。微妙にネタバレがあると思うので、未読未見のかたはご注意を。


原作と同じく牛乳のシーンからです。落ちた牛乳が飛び散るところとか、原作未読の人にもきっと、牛乳に何か意味ありそう…と思わせますね。
HRの時間だというのに中学生が好き勝手なことをしていて、森口が退職の報告をしているというのにうるさいのなんの^^;大事な話をする前に、子供を静かにさせないで話し始める教師がいるわけないと思いましたが、話の内容にだんだんと興味を持ち始めて、最後にはシーンとなる、という演出なのでしょうね。

松たか子さんは原作通り感情を交えない話し方です。ラストまでで大きな声を出すのは嘲笑の交じった大笑いとCMにもあった「どっかーん!」のみ。最初は、この役を松さんってどうなのかなと思ってましたが、怖いです。

ウェルテル役を岡田将生さん。一生懸命なんだけど、空気が読めない担任役を演じていましたが、顔がきれいすぎます^^;こないだ家族がDVDで見てた「悪人」を横で何となく見ていたのですが、こちらはとんでもない役でした。「花ざかり~」や「乙男(オトメン)」のイメージから離れて様々な役にチャレンジしていますね。
それにしても、こんな全員で秘密を共有しているようなクラスは担任したくないものです^^;そう言えば、何で秘密を口外しないかというところが映画ではなかったように思うのですが…。

美月を演じている人がなかなかの存在感でした。出てくるとパッと目を引きます。犯人Aとのシーンはなぜか切なさを感じるシーンに仕上がっていました。Aは登場シーンが多く、難しい役柄でしたが、ラストの独壇場を始めとして印象的な演技でした。

木村佳乃さんは、こないだ見た「名前をなくした女神」のキャラとちょっとかぶってました^^;自分の子供のことで頭がいっぱいで、周囲には攻撃的、みたいな。上手い役者さんですが。

原作でこれはその時点で気がつくだろうと思った、桜宮先生から○をとるシーン、映画ではやっぱりそこで気がついてました。学校に忍びこんで○○を交換するのも無理だと思ってたので、映画の方が無理がなかったです。

原作のラストは電話での会話で終わっていましたが、映画では森口が講堂に姿を見せます。原作では第一章と同じく淡々と語る森口ですが、映画では感情が表に出ています。それは母親としてなのか、教師としてなのか…。原作にない最後の一言が上手いですね。

映像は、水の飛び散るシーン(牛乳も含め^^;)等、スローモーションを効果的に使っているところが多かったです。笑顔で駆け出していく生徒たちがはね散らかす水が思いっきり泥水で、青空の代わりにどんよりとした空模様なのも、普通の学校物とは対照的です。
ラスト近くの逆再生と、それをさらに一部分普通に再生してみせる手法はAに追い打ちをかけるような効果になっていたように思います。

原作の心情面をさらに掘り下げ、見応えある作品になっていました。役者さんもみんな好演だったと思います。