第2図書係補佐  又吉直樹

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芸人きっての読書家として有名なピースの又吉さんが、生活とともにある本の存在について語ったエッセイです。

 

少し前に観た「アメトーーク!」が読書大好き芸人さんの特集でした。それに出演していた又吉さんの語ることに、すごく親近感を覚えたんです。
それで、このエッセイを手に取りました。
「第2図書係補佐」という謙虚なタイトルにも心惹かれました。

 

又吉さんが大好きな本を選び、その内容とどことなくつながる思い出や、身の回りのエピソード、連想したことなどについて書いています。本の紹介はそれぞれのエッセイのラストに少し載っているだけです。でも、それが又吉さんのエピソードと相まって、すごく印象的に感じられるのがいいです。

 

読書家だけあって発想が豊かで語彙が豊富なので、楽しく読めます^^
それぞれの本に思い入れがあるとやっぱり何かしら浮かんでくるものです。私も、又吉さんが挙げた本の中で読んだことあるものの内容や、それにまつわる思い出などを思い出しながら読みました。
 
どれも面白かったけど、いくつか好きなエッセイを紹介します。
「月の砂漠をさばさばと」北村薫
双子の姪に何か買ってやろうとして思わぬ出費になってしまった又吉さん。
帰ってから子供ならではの感謝の気持ちのこもったお返しをもらい、しみじみとした気持ちになる話です。北村さんの本の主人公は9才。それにちなんだ思い出が心温まります。

 

巷説百物語京極夏彦
ある日金縛りにあった時、部屋の棚で見たあり得ない物は…。
又吉さんが見た物がとんでもなく、笑ってしまいました(笑)
最後に、それについて京極さんなら恐ろしく書いてくれるだろう、とありましたが、京極さんでも難しいと思います(笑)

 

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド村上春樹
親友と信じていた人に騙された又吉さんが、その人の住所をつきとめるまでの話です。
ちょっとしたサスペンス風なのも、この本の内容に合わせているのでしょうね。
ラストがちょっと爽やかで、いいエピソードです。
私は村上さんの本の中で、この本が一番好きなので嬉しくなりました。

 

夜は短し歩けよ乙女森見登美彦
ちょっとかわった女の子との、学生時代の交流についての話です。
その女の子の話も面白いけれど、ラスト3行が特に印象的でした。
「これを読んで京都に行きたくなりました。」私もそう思います。

 

最も好きな作家が太宰で、近代文学に興味があるそうですが、このエッセイを読むと、ミステリ、エンタメ等多岐に渡るジャンルを読んでおられるのだなと思いました。

 

エッセイ、そしてラストの中村文則さんとの対談を読んでも思いましたが、又吉さんはほんとに読書が好きなんだなということが伝わってきます。
ただ好きなんじゃなくて、本に対する愛情が感じられるんです。きっと、本のない人生なんて考えられないだろうなと思います。
そして活字というより本自体を大切にしている人なんじゃないかと思います。又吉さんはたぶん電子書籍が普及しても紙の本を読んでいるでしょう。

 

同じ読書好き、本好きとして、深く共感したエッセイでした^^