虚像の道化師 ガリレオ7  東野圭吾

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ガリレオシリーズ第7弾の短編集です。
ガリレオは、長編の方がもちろん読み応えはありますが、もともと短編としてスタートしたシリーズなので、私にはこちらの方が何だかしっくり来ます^^


「幻惑す(まどわす)」
新興宗教の教団内の死亡事件を巡る顛末です。
念によって人を死に追いやったという教祖連崎の力は本物なのでしょうか。
これは、解明のポイントもすぐ分かるし、驚かされるような展開はなかったです。
草薙のお姉さんが面白いキャラの予感が…(笑)

「心聴る(きこえる)」
耳鳴りに悩まされているOLの会社の社員が傷害事件を起こし、草薙も巻き込まれます。これも分かりやすい話ですが、どういう仕組みになっているのか興味が湧きました。
でも、まだ実用化されてないんですね^^;されても怖い気がしますが…^^;

「偽装う(よそおう)」
バドミントン部の同期の結婚式に向かった湯川と草薙は、会場近くで起こった死亡事件の捜査に関わることになります。
ロッキングチェアに座り散弾銃で撃たれている夫と、扼殺されている妻。その状態を見た湯川の推理は。
なるほど、物理学の基礎を使ったトリック解明で、ガリレオらしいですね。でも、硝煙反応とか、きちんと調べればすぐに分かっちゃいそうです。でも、捜査が本格的に始まる前に解明することが重要だったんですね。
湯川の人柄が随所で感じられて、心温まる一作です^^

「演技る(えんじる)」
劇団の演出家が殺され、刑事コロンボのように犯行現場から物語は始まります。
彼を刺した元恋人の敦子は、携帯電話を使ったトリックを仕掛けますが…
これはなかなか面白いです。トリックに目を奪われていると、思わぬ所で足をすくわれるかも。
ラストの花火、数発は上げているはずで、私も湯川同様費用が気になって調べてみました。一番小さい3号玉が三千円台だそうなので、数発上げても、そんなにかからないですね。いらないお世話ですが、安心しました(笑)


湯川が推理の時に数式を書くシーンがあり、東野さんが意識して湯川をテレビのキャラに近づけている気がします。
前にも、福山雅治さんの名前が出てきたりとかありましたし^^;
重厚さを求める人には向きませんが、ミステリと科学のコラボを気軽に楽しむには良い本です^^