和菓子のアン  坂木司

イメージ 1

デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働く梅本杏子(アンちゃん)が、和菓子やお客さんにまつわる謎に出会うミステリーです。

実は和菓子は苦手で…^^;でも、昔よりは食べるようになったかなと思います。
お茶を習っていた時には、先生が名店から取り寄せていた美しい和菓子を頂いたこともあります。本の中に出てくる「紫陽花」を食べたことがあって、餡を薄紫の角切りにしたゼリーで包んでいて、目にもおいしいお菓子でした。

登場人物はアンちゃんの他に、店長の椿さん、社員の立花くん、バイトの桜井さん。
その他の人物に至るまでみんな植物の名前が入っているのがおしゃれです。

メインの探偵役は椿さんが務めることが多いです。和菓子に隠された符号、メッセージを読み解く鮮やかな推理は、選ばれた本から謎を解くビブリア古書堂の栞子さんに通じるものがあります。キャラはだいぶ違いますが^^;

立花くんは接客のプロで一見クールな印象ですが、実は心の中は乙女なことが大好きなオトメンです。マンガぽい乙女な台詞や行動が笑わせてくれます(笑)
今のとこアンちゃんと恋愛には発展してませんが、続編があるようなので今後あるかも?
元ヤンの桜井さんのキャラも面白いですね。

和菓子ってただおいしさを楽しむだけでなく、季節や言葉を楽しむ物なのだなあと思いました。和菓子1つ1つに物語があって、それを知るのがとても楽しかったです。特に掛詞や隠語がこれだけ多用されてるとは…日本の文化は奥深いです。
和菓子の味や見た目を表す表現も美しくて、和菓子好きの人なら、すぐに買いに走りたくなるかもです。

作者の坂木さんはもともと和菓子に興味があったのかなと思ってましたが、この物語を書くために調べていくうちに和菓子の世界に引き込まれたのですね。和菓子アンソロジーをリクエストするほどですから、よほど気に入ったのでしょう。

謎を解きながら和菓子について詳しくなるし、人の関わりの温かさにほっこりさせられるところも素敵なミステリーでした^^