さあ、気ちがいになりなさい  フレドリック・ブラウン

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久しぶりに読んだ「異色作家短篇集」です。まだ2冊目なんで、このシリーズを読み終わるのがライフワークかなと思ってます。

子供の頃から愛読してきたブラウンなので、この傑作集の作品の多くは既読でした。でも、訳が何と星新一さんなんですよね。そういう意味でも読み応えがある短篇集なのではと思います。

全12編の中から、印象的な作品について紹介します。

みどりの星へ」
緑のない惑星に不時着して何年も過ごし、緑の地球を恋いこがれていた男の行く末は…。何とも切ない物語ですが、○○にも緑はきっとあったでしょうし、光線銃の緑を頼りにするよりましだったんでは…と思います。

「電獣ヴァヴェリ」
電気を食べる宇宙人に侵略された世界はいったいどうなるのでしょうか。
電気が使えないことの大騒ぎが収まって、落ち着いた生活になるところがいいです。
それはそれで特に悪くない生活なんですね。

「ユーディの原理」
サイボーグ009みたいな加速装置を発明した男と友人の、実験の顛末です。
科学だったはずが、最後には超自然的な話になってしまってるのがユニークです。

シリウス・ゼロ」
シリウス星系に新しい惑星を発見した男は、そこがある目的に使われていることを知ります。
これはどんでん返しが楽しい作品です。堅物な乗組員の恋愛も絡んでいて、オチも決まってます。

「帽子の手品」
手品のタネを見破ったのが元で諍いになり、男は帽子を使った手品をすることになるのですが…。
これは不気味です。読んでると映像が浮かんで来て、「トワイライト・ゾーン」的な作品かなと思います。

「さあ、気ちがいになりなさい」
取材のために、精神病院に患者として入り込むことになったバインは、ある重大な悩みを抱えていました。
途中から思わぬ壮大な方向に話が進むので驚いてしまいます。自分を○○と思いこむ人って、今でもいるんでしょうか?昔の物語ではメジャーな病気だったみたいですが…。

なかなかバラエティに富んだ短篇集でしたが、ブラウンならもっと面白い作品あるなあと思います。単に私の趣味かも知れませんが^^;
巻末で坂田さんが書かれていた「ミミズ天使」は私も大好きな作品です。
あと、「プラセット」や「闘技場」も好きです。他の作品集で読めるので、興味のある方はぜひ^^