鍵泥棒のメソッド  監督 内田けんじ

イメージ 1

自殺に失敗した売れない役者の桜井(堺雅人)は、銭湯で転んで意識不明になった男(香川照之)のロッカーの鍵を自分の物と交換します。男の金を使って借金を返し、豪勢な暮らしを手に入れますが、思わぬトラブルに巻き込まれます。
転んだ男の正体は伝説の殺し屋と言われるコンドウでしたが、記憶を失ってしまい、婚活に必死な女性香苗(広末涼子)に世話をしてもらうことに…。

「アフタースクール」の内田監督ということ、そして何よりも堺さん、香川さん、広末さんという顔合わせに期待大でした。そして、期待通りの面白さ!

桜井は何事も中途半端でだらしない生活を送っている残念な人間です。でも基本お人好しで、普通なら泥棒した相手には会わないようにするはずなのに、何とかして山崎におわびができないかと考えて周りをうろうろしてしまうのが笑えます(笑)

一方で山崎(コンドウの本名)は、真面目で几帳面です。自分は桜井だと思いこんで役者の勉強を始めますが、何でも真剣に努力するので役者としても認められてしまうのが面白いです(笑)
自分のこと、演技のことなどをきれいな字でびっしりと書き込んだノート。このノートがけっこう重要なアイテムだったんですね。
へたくそな桜井の文字を自分が書いたのだと思って、「よほど動揺していたんだ」と思うところに爆笑です(笑)
筆跡の違いで性格が表されているあたり巧いですね。
また、香苗もきちんとスケジュール帳に書き込みをしていることから、几帳面な性格がうかがえます。
山崎は香苗の好みのタイプぴったりです(笑)

コンドウに殺しを頼んだ男(荒川良々)が桜井の前に現れてから、桜井は抜き差しならない状況に陥ります。でも、山崎の記憶が戻り、香苗とともに3人で危機に立ち向かうことになります。
記憶が戻る前の朴訥とした山崎、記憶が戻ってからの切れ者の山崎を香川さんがさすがの演技力で演じ分けています。その豹変振り、素晴らしいです。
山崎が桜井に演技指導するという、それまでとは別の意味で立場の逆転が起きるところに爆笑&感心させられました。

事件に関わったおかげで、桜井も役者として、そして人間として一歩成長します。それを山崎が認めてくれているところに心温まりました^^

山崎と香苗のラブストーリーも胸キュン(文字通りの効果音が映画で使われていたのがしゃれてます)な展開で、ほのぼのさせてもらいました。

堺さんはなさけな~い男から、ちょっとやるじゃん!という男になるまで、こちらが力を抜いて観ていられる存在でした。窮地に陥っても誰かが助けてくれそうな、そんな感じです(笑)
香川さんは要所要所を締める、緊張感のある役柄で、頼りになる存在でした。この人がいれば香苗も安心でしょう^^
広末さんは、意外と行動力のある一途な女性がはまり役でした。

そうそう、この映画はエンドロールまできちんと観て下さい。
ここでもキュンとさせられますよ~^^