イケメン☆平家物語  山下景子

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大河ドラマ平清盛」、視聴率は低かったけれど、私は面白いと思って観てました。
後白河を中心にした宮中の怪しい人間関係や、清盛の長男重盛の苦悩など、見ごたえありました。(あれ、清盛は?)
平家は似たような名前が多くて、何が何だか…ということと、後半は清盛がほぼ悪役、しかも源平合戦の時にはすでに亡き人ということでいまいち盛り上がらなかったのだと思います。

この本を読んでいれば、平家の関係がよく分かって、もっとドラマが楽しめたかも知れません。
作者が漫画家とコラボして平家について分かりやすく解説した本です。

タイトル通り、最初は「平家イケメンランキング」(笑)
「見ているだけで幸せになれる美男」「結婚すれば幸せになれそうな男」などが並んでいます。
美男については挙げられている4人のうち、3人が維盛本人とその近親者で、維盛がいかに美男だったかよく分かります。
このコーナーで、イラストとともに、平家のおもな人物を知ることができるので、後の内容にもすんなりと入りやすくなっています。

この後は、清盛誕生から平家滅亡まで、だいたい年代順に並んでます。
「年表」「メイン記事」「トリビア」「ロマンス劇場」「冥界インタビュー」「モリモリ(盛盛)ニュース」など、まるで週刊誌のような構成ですが、内容はなかなか読み応えがあります。史実をしっかりと描いているし、記事ばかりで飽きてしまわないように、工夫されていると思います。

「ロマンス劇場」では、平家物語等で多く語られる悲恋が和歌とともに載っています。
和歌でやり取りする風習って、いつ頃まで続いていたのでしょう。これが必須教養だった時代、言葉のセンスが磨かれたでしょうね。和歌で使われている日本語は本当に美しいです。

トリビアのコーナーで、平家の公達を花にたとえた室町時代の書物を紹介したり、乳母子(めのとご)との深い絆について語ったりしているのが興味深かったです。

大河ドラマの最後にある「紀行」のコーナーのように、「平家トリップ」というコラムで、平家にまつわる史跡を紹介しているのもいいです。

私が一番好きなのは平知盛です。文武に秀でた総指揮官で、最後の壇ノ浦で平家の終焉を見届け、「見るべき程の事をば見つ」と言って海に沈みます。浮いてこないように、舟の碇をかついだという説も。
弟の重衡も、和歌の才能と、妻との別れのエピソードなど、気になる存在です。

イケメンに注目してるのは始めだけなので、タイトルは作者が始めつけたかったという「恋する平家物語」の方が良かったかも。意外とまじめな入門書なので。
平家の人物についての知識が少しはある人の方がより楽しめると思いますが、全く初めての人でも楽しみながら平家について知ることができると思います。