大奥〜永遠〜[右衛門佐・綱吉篇]  監督 金子文紀

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男子だけがかかる赤面疱瘡という病のため、男性が激減し、女性中心の世の中になった江戸時代を描いた漫画の映画化です。二宮くんと柴咲コウさんの映画の数十年後になります。

もともと原作ファン、そして堺さんが主役ということで楽しみにしていた映画ですが、観る機会をなんとなく逃していて、ようやく観ました。
堺さんと菅野美穂さんが結婚するきっかけになった映画でもあります。

菅野さんは将軍綱吉、堺さんは京都から綱吉の父に呼び寄せられた貧しい公家出身の、右衛門佐です。
しかし、すでに35才目前であったために将軍の愛人にはならず、その才覚と野心で大奥の総取締に上り詰めます。

堺さんは誰もがハッとするような美男子とは違うと思いますが、(すみません^^;)たたずまいに品があり、持っている雰囲気が美しいと思うのです。
その雰囲気が、時代劇にぴったりで…。
私が最初に堺さんに注目したのは「新撰組!」の山南敬助役でした。その後、「篤姫」の家定、ドラマ「大奥」の有功、「塚原卜伝」の卜伝など、出演した時代劇はほとんど観ています。もちろん他の役も観ていますが^^

綱吉は能力の高い女性でしたが、お伝の方(要潤さん)との間の跡取り娘を亡くし、それ以来、ただ跡取りを生むだけの存在としてつらい思いをします。その苦悩が、乱行となって現れます。
しかも、父はかつて自分がした殺生が孫に恵まれない原因と思い、綱吉に「生類憐れみの令」を出すよう進言します。そのため綱吉は稀代の悪政を敷いた将軍として民から憎まれる存在になってしまいます。
右衛門佐も総取締役として、綱吉の元へ男性を送り込みますが、やがて綱吉の苦しみを知り…。

将軍に生まれたばかりに、普通の女性としての幸せから遠ざけられ…綱吉の哀しみに、胸がしめつけられるような思いがしました。
出産という個人的な出来事が、昔も今も政治的な思惑や、本人以外の人間からのプレッシャーに左右されるのは何故なんでしょうね。安藤美姫さんの出産についてのことなど、記憶に新しいです。

綱吉と右衛門佐が老境に近づいた頃(当時のですが)、右衛門佐が秘めた思いを綱吉にぶつけるシーンにはグッときました。
2人のそれまでの境遇を丁寧に描いているからこそ、このシーンが生きてくるのだと思います。
2人だけのシーンの数々はとにかく美しく…。悲しいシーンが多い中、輝いて見えました。

ほとんど原作通りで、ラストもそうなのですが、原作ほど悲愴な感じはなく、綱吉の笑顔で終わっていたのは良かったです。