舟を編む  監督 石井裕也

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長い年月をかけて、辞書を編纂することにすべてを傾ける、言葉と辞書を愛する人々の物語です。
原作が大好きなので、映画も観たかったのですが近くに来なくて…ようやく観られました。

やはり気になるのは「まじめ」こと馬締光也のキャラクターです。
松田龍平さんは、影がありすぎるというか、まほろ駅前の行天はぴったりだと思ったのですが…まじめは朴訥としているけど、ちょっと抜けたところがあってほっこりさせられるような感じだと思うので、少し雰囲気が違うかな…と思いました。

大都会熱唱がなかったのは残念でした^^;

便箋15枚のラブレターが、巻紙に変わってました(笑)
「戦国武将か!」のツッコミがおかしかったです(笑)
香具矢とのエピソード、ほんわかしていて好きなのですが、映画では少々あっさりすぎかな?と思いました。
宮崎あおいさんは、明るく夫を支える奥さんという役がぴったりですね。

オダギリさんが珍しく脇に回ってましたが、一見ちゃらちゃらしているようで、部署が変わってもまじめを支える西岡のイメージに合っていて、とても良かったです。

加藤剛さんの松本先生、さすがの存在感でした。何十年も辞書一筋、言葉採集カードを肌身離さず、若者言葉を集めるために合コンにまで参加してしまう、その純粋で真っ直ぐな言葉への愛情が伝わってきました。
ラストのエピソードにはやはり涙してしまいました。原作で分かってはいても、出版が間に合ってほしいと願わずにはいられませんでした。

校了前に不備が見つかった時、大勢のアルバイトの学生と一緒に泊まり込みで作業をするあの熱い空気感、これは映像ならではでした。
無事終わった時の達成感と来たら…思わず一緒に拍手したくなりました。

「大渡海」の装丁が原作とは違っていましたが、かわいらしかった原作に比べ、辞書らしくしかもおしゃれな装丁で、こちらも好感が持てました。

何かに打ち込み、成し遂げることの素晴らしさは、原作でも映画でも変わらず心に響いてきました。
温かい思いでいっぱいになる、いい映画でした。