ポーカー・レッスン  ジェフリー・ディーヴァー

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「クリスマス・プレゼント」に続くディーヴァーの短編集です。
「ドンデン返し16連発!」というコピーその通り!というか、実際のドンデン返しの回数はもっと多いです。

16編のうち、特に印象に残ったものを紹介します。

「通勤列車」
ライバル会社に情報を流して大金をもらい、愛人を囲い、何事も上手くやっていると思っていた男の思わぬ転落人生。
転落にもほどがあるって感じですが、思い上がったイヤな男なので、こういう落とし穴があっても仕方ないかも。

「ウェストファーレンの指輪」
盗みに入った先で、非常に価値のある指輪を発見した男は、警察に目をつけられてしまいます。
ピンチをいかに切り抜けるかという話なのですが、ラストあたりに思わぬ人物が登場するのが面白いです。


「生まれついての悪人」
数年ぶりに会う娘は、反抗的で昔から親を困らせて来た子供でした。娘を恐ろしく思う母親が用意したものは…。
タイトルが意味深ですね~。こういうこともあり得るかもと思ったのが正解でしたが、真相を知ると言葉を失います。

「恐怖」
マリッサは、アントニオにつれられて週末の小旅行に出かけます。しかし、行く先々で不穏な雰囲気が…。
ゴシックホラー調に物語は進みますが、この結末にはびっくりです。私だったらまずタクシー会社ですね。

一事不再理
敏腕弁護士のルクロワは、犯人だとはっきり分かっている男の弁護を引き受けます。
無罪にするために仕掛けた弁論の行方は。
確かに「一事不再理」になってるところがさすがですね。ラストの落とし方も巧いです。

ロカールの原理」
慈善事業に関わる実業家が殺されます。
ライムとアメリアはいくつかの微細証拠を集めますが、それらが指し示すように、犯人は外国から来た傭兵なのでしょうか。
ライムシリーズはやはり短編でも濃いですね。まだまだ読んでいたい気がして、短編なのがもったいないと思いました。

「のぞき」
意中の女性に声をかけたいと思い続けていた男は、女性をこっそりと覗いている男を見つけます。それをきっかけに女性と親しくなろうと策を練るのですが…。
ラストの懲りない男の台詞と、それに唖然とする弁護士のやりとりの妙な間が笑えます(笑)

「ポーカーレッスン」
親の遺産を相続した18歳の少年トニーは、それを元手にポーカーの勝負に挑みます。
カードプレイヤーのケラーは、トニーの金を巻き上げようと企みます。
だましだまされ…まともにやっている方がバカを見る世界なのでしょうか^^;
ポーカーの様子は緊迫感とスピード感があって、読み応えがあります。

巻末に「恐怖」を執筆した時のテクニックについて作者が解説しています。
頭の中にはいろんなアイディアが満ち溢れていて、書かずにはいられない意欲、構成する力、筆力も並はずれているというところはキングと共通していると思いました。