鏡の国の殺人(野性時代連載)  貴志祐介

防犯探偵榎本径シリーズ最新話です。ようやく完結しました。
始めは上・下かなと思っていたのが、あれ、上・中・下?
ついに上・中・三・四に(笑)
でも、長くなったぶん、なかなか読み応えがありました。

原作では、榎本が館長に頼まれて美術館に忍び込むところからスタートして、そのため館長の死体の発見者は榎本本人です。犯人にはめられたと気づいて、そこから純子とともに事件の謎を解くことになります。
だから、ドラマよりももっと榎本が事件の中心にいる感じがします。

監視カメラに映らずに館長室に出入りするには?というのが今回のトリックです。
ドラマ化での貴志さんの希望通り、トリックは原作もドラマも同じです。ドラマを先に観ているとイメージしやすかったので良かったです。特にハンプティダンプティの顔なんて、実際に見せてもらって初めて納得できますからね~。
 
事件の調査が始まると、メインで動くのは純子なのでちょっと出番が減りますが、電話で連絡を取り合います。
相変わらず純子がトンデモ推理を披露して、それを榎本があきれながら訂正するっていうやりとりが面白いです。

【三】の途中から榎本が合流して、ますます面白くなってきます。
ウインクのくだりには爆笑です(笑)確かに始めの頃は榎本は純子にアプローチしてましたが、今ではボケとツッコミの関係でしかないような気がします^^;
【四】では、榎本が純子にあだ名をつけて、それを犯人にまで言ってしまうというのがおかしいです(笑)
でも、純子も榎本の「本業」についてチクチク言ったりして、負けてはいません。

榎本は原作とドラマは全然タイプが違うけど、原作の軽妙な榎本も好きです^^
でも、ドラマの人付き合いが不器用な榎本径くんはかわいらしいです

ラストにはドラマにはない劇的な幕切れが用意されています。
ドラマを観ていても、原作はまた違う楽しみがあって、さすが貴志さんだなと思いました