石の猿  ジェフリー・ディーヴァー

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アメリカに密入国する中国人を斡旋する蛇頭の“ゴースト”は、沿岸警備隊に見つかり船を沈めます。自分の顔を知った密航者たちを抹殺するために、上陸した人々を追います。
情報を得たライムとサックスは、密航者を守り、ゴーストの居場所を突き止めようとします。

ライムシリーズ第4弾です。
普段ならこういう暗黒街が絡んだようなストーリーは苦手なのですが、ディーヴァーなら別です。さすがのリーダビリティでした。

「エンプティー・チェア」でやり過ぎな感もあったどんでん返しですが、今回は予想の範囲でした。ディーヴァーだから…と裏を読もうとしてしまって、ゴーストの居場所も分かってしまいました^^;伏線もあったので、わりと分かりやすかったのでは。

お気に入りのキャラは、中国公安局の刑事ソニー・リーです。
飄々としていて、登場すると何となく雰囲気が和らぎます。鑑識の現場で煙草を吸ってサックスに怒られたりしてますが、ライムを「老板“ラオバン”(ボス)」と呼んで身障者としてではなく接します。気むずかしいライムがうち解けてしまう不思議な魅力の持ち主です。
自分の考えをしっかりと持っていて、ライムに対してもそこは譲りません。強い正義感と使命感、犯人を追い詰めることに全力を傾ける、刑事らしい刑事です。
ライムとリーの会話のシーンが好きです。ライムが彼を友人と認めるところ、そして最後のライムの手紙にはじんとしてしまいました。

サックスが沈没した船に潜って鑑識をするシーンは読み応えがありました。水中にある物なんて捜査に役立つのかと思いましたが、かえって保存状態が良い場合もあるんですね。驚きです。

ラスト近くにライムが指摘したゴーストの行動については、私も「自分で連れてきたくせに何で?」と思ってたので、ここで出てきてホッとしました。

サックスとの子供のこと、これからも二人の間で気になることになっていくんですね。
ポーイーのこと、もしかして…と思ったんですが、やはり落ち着くところに落ち着きました。

いつもの二転三転する驚きはなかったものの、物語としてとても読ませる内容でした。