そらみみ植物園  西畠清順

イメージ 1

世界中を旅するプラントハンターである西畠清順さんが見つけた、珍しい植物を紹介した本です。

こういう本は写真が普通だと思うのですが、これはイラストです。写真も少しだけありますが、風景や、大自然の中に立つ西畠さんの姿だったりします。
でも、イラストであるおかげで、オリーブの木の下に立つイチロー選手や、ライオンの口に引っかかっているとがった木の実など、なかなか見られそうにない光景も見られるわけです。

山羊が鈴なりになったアルガンツリーという木の絵。これは誇張に違いないと思って検索したら、そっくりの写真が…。大好きな木の実がなるので、山羊がわれ先に登って食べるそうです。西畠さんも登って食べてみたら、枝のトゲは痛いし、木の実はまずいしさんざんだったらしいです^^;

トヨタのオーリスの発表会で車の周りに配置された木は、根も土もなく、みんなを唖然とさせたのだとか。ふくらんだ根元に水や栄養を蓄えているそうです。

ヒドノラという多肉植物は、鎧状の表皮の卵形で、真ん中に縦の切れ目が入って中は派手なピンク、切れ目の縁には白い触手状の毛が…まるで宇宙生物の卵が割れたようで不気味ですが、怖い物見たさでつい何度でも見たくなってしまいます。

こういうめったに見られない植物ばかりかと思うとそうではなく、私が育てたことのあるフウセンカズラも載っていました。絵はまだ緑の時のでしたが、熟すと種が黒くなり、白いハートの模様がくっきりと際だちます。ハートの描かれた小さな種からは、ひゅるっと細長い茎とつるが伸びてきて巻き付きます。そして夏になると涼しげな緑色の風船のように膨らんだ実がなるのです。

この本で面白いのは珍しい植物だけでなく、それぞれについている西畠さんの文章もなのです。
子供の頃読んだ本で「タビビトノキ」という植物が載っていて、葉の根元に水を貯めていて、旅人の喉を潤す…ということを知ったのですが、お腹をこわすので飲まない方がいいそうです^^;
でも、「美しいので旅人の心を癒してくれるタビビトノキ、ということでなんとかならないだろうか」という文章にほっこりしました^^

西畑さんは「代々木ヴィレッジ」という場所の植物のコーディネイトを手がけているということで、そこへ行くと世界中から集めてきた珍しい植物が見られます。興味があるお近くのかたは出かけられてはいかがでしょう。