藁の楯   監督 三池崇史

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幼女連続殺人事件の犯人である清丸(藤原竜也)は、二人目の被害者の祖父である蜷川(山崎努)から、「この男を殺せば十億円」という懸賞金をかけられます。
仲間から裏切られてけがを負った清丸は、恐れをなして逃亡先の福岡で出頭します。
福岡から東京まで護送するために、特別に銘苅(大沢たかお)を始めとするSPが配置されます。

普通に考えれば蜷川を確保して、懸賞金を取り下げさせるべきですが、なぜかそれができなかったので、清丸はありとあらゆる人から命を狙われることになります。
清丸のような残虐な犯罪者の命を守ることは正しいことなのか、というSP達の葛藤が描かれていきます。

銘刈が言っていたように、怖いのは一般人よりも訓練を受けている警察官で、清丸に近づく者は警察関係者であっても安心できないというのがハラハラさせられます。
ここまで警察官が狙ってきたり、周囲に裏切り者がいたりすると、誰も信じられなくなって孤立無援感っていうのが募りますね~。
護送車→新幹線→徒歩→車と、移動手段を次々に変える中、敵がどのように襲ってくるかスリル満点でした。

それにしても清丸は、護送途中でも隙を見て幼女を襲おうとするどうしようもない男で、自分を命がけで守ってくれるSPにまで牙をむきます。
でも、母親を思って涙するという人間らしい面も見せて、藤原竜也が演じているとつい同情してしまいたくなるのが困りものです。

仲間の死を目の前にした上、つらい過去を持つ銘苅は、清丸を守り続けるのか…?人間としての感情と、SPの使命感という相反する思いの中で葛藤する銘苅から目が離せませんでした。

ラストであの剣、SPじゃなくても危険なことは分かるのに、ほったらかしにするのはあり得ないですね。もうちょっと他のシチュエーションがありそうなものです。
でも、銘苅に言い放った清丸の一言、それがSPとしての銘苅を象徴しているようで印象に残りました。

確かにツッコミどころもありましたが、自分の命よりも護衛対象の命を優先するSPという存在にグッとくる映画でした。