ばけもの好む中将 弐 姑獲鳥と牛鬼  瀬川貴次

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左近衛中将宣能と、右兵衛佐宗孝のコンビが怪異を探る平安絵巻第2弾です。

今回はまず、宮中の花形である4人の近衛中将の紹介がされます。
光源氏の再来とも言われる美形、宰相の中将雅平。
優秀で帝の信任厚い、頭の中将繁成。
癒しの君と呼ばれる源中将有光。
そして、「ばけもの好む中将」こと左近衛中将宣能。

この綺羅綺羅しい4人の貴公子に混じって突然蹴鞠をさせられる、宗孝のあわて振り^^;
今で言えば、一ファンが嵐チームに入って、VS嵐でゲームをするようなものでしょうか(笑)
この中将達がどんな風に物語に関わってくるのか楽しみでした。

この華やかなプロローグから一転、宗孝の12人の姉の1人、四の姉の隠遁生活が語られます。物の怪に憑かれているという彼女の言葉は本当なのでしょうか。
相変わらず、宣能の怪異好きに引きずられる宗孝(笑)雅平の逃げ足の速さと、嬉々として鬼火に突進していく宣能、同じ中将でもこうも違うものかと…。

メインストーリーとなる「姑獲鳥と牛鬼」では、宗孝が捨て子を拾って騒動に巻き込まれます。
高貴な身分に間違いない、捨て子の親は誰なのか?探るうちに現れる姑獲鳥の影とは?
ある理由から、やりたくもない、怪異名所巡りをすることになる宗孝が笑えます(笑)
行動の一つ一つに宗孝の人の良さが表れていて、何だか微笑ましいです。

捨て子の産着に挟まっていた、母親が書いたと思われる手紙の筆跡を、共感覚を持つ宣能の妹が探るのも、このシリーズならではのミステリ仕立てで楽しいです。

ラスト近くの、カーチェイス(牛車の競り合い 笑)、平安時代とは思えないアクション的な見せ場がたっぷりです。

このシリーズがユニークなのは、宣能と宗孝のキャラに加え、宗孝の12人の姉たちのおかげでもあります。
前作で出てきたのが二、五、六、八、十、十一の姉でした。今回は、三、四の姉が新しく登場します。帝の更衣として上がっている姉もいれば、行方をくらましていた一筋縄ではいかない姉もいて、バラエティに富んでいます。今後の姉の登場が気になります。

なかなか真の怪異に出逢えない宣能ですが、そういうのが好きな人に限って見なかったりするんですよね^^;ちなみに私は全く霊感がなく、見えるという人も、私と一緒にいると見ないそうです(笑)
さて、続巻での怪異はどうでしょう。次も楽しみです^^