ファイティング・ダディ 怒りの除雪車  監督 ハンス・ペテル・モランド


このタイトル、インパクトありますよね~。WOWOWで放送決まった時から、気になって仕方なくて。思わずツイートしてしまったくらいです。
そんな時、偶然観てた番組で斎藤工さんがこの映画を絶賛してるのを発見。これは間違いないだろうと思って観てみました。
ネタバレありますのでご注意下さい。


タイトルのイメージからは、除雪車で悪者をバンバンなぎ倒すような感じがしますが、そうじゃなかったです^^;
長年除雪車の作業員を勤めている実直な男ニルス(ステラン・スカルスガルド)は、息子が麻薬の取引に巻き込まれて殺され、その復讐のために地元のギャング“伯爵”(ポール・スヴェーレ・ハーゲン)とその一味を狙います。
舞台は除雪車が出てくるだけあって、「ファーゴ」のような一面の雪また雪です。
そして、ちょっとオフビートなブラックコメディなのも共通しています。

まず、ニルスが、いきなり伯爵の手下を次々に殺してしまうのに面食らいます。実直な男が安易に殺人に走りすぎなんですが…。除雪車は使ってなくて、地道に?肉弾戦です。
人が死ぬたびに、黒いバックに白で十字架と亡くなった登場人物の名前が出るのがユニークです。

登場人物の設定も行動も変です^^;
伯爵はベジタリアンで、ニンジンジュースが大好き。そして一人息子を溺愛しています。ギャング絡みの話をする時は、息子に席を外させるために「ニンジンを取ってこい」と言います^^;
ギャングのボスが子供の送り迎えのことで奥さんと揉めてるシーンがあるっていうのも庶民的ですよね(笑)


部下が殺されたのを始めは対立するセルビア系マフィアの仕業と思って、ボスの“パパ”(ブルーノ・ガンツ)の息子を殺してしまいます。
この映画、ニルス、伯爵、パパのそれぞれの父親としての面が強調されているのが面白いです。ニルスは伯爵の子供を誘拐して、おじいちゃんみたいに慕われてますし。


ニルスは伯爵になかなか近づけないので、元ギャングの兄ウイングマン(あだ名^^;)に相談します。助言に従って殺し屋“チャイナマン”を雇いますが、全額前払いしてしまったので、当然のごとく裏切られます^^;
このチャイナマン、“日系だ”という台詞があって、けっこう他にも人種絡みのジョークが出てきます。

伯爵の部下がゲイのカップルで(伯爵の後ろに立ってる二人)、ストーリーとは何の関係もなく唐突に車の中でのラブシーンが始まります^^;一人が伯爵に殺されてしまって、残った一人が最後に復讐するんじゃないかと思ったけど、特になかったですね。
伯爵もパパも、ギャングだけあってとにかく無意味に人が殺されまくります。でも、そのたびにバーンと黒バックで十字架が出てくると、何だか「デスペラード」風の西部劇のような気さえしてくるのです。

それまで移動と道を塞ぐくらいしか利用されてなかった除雪車ですが、最後の銃撃戦で大技を見せます。重機好きにはたまらないんじゃないでしょうか。

共通の敵を倒したニルスとパパは除雪車に乗って二人で去って行きますが、そこに突然……! ラストまで訳の分からない展開で^^;

確信犯的な遊びが詰め込まれていて、普通の映画とはひと味違う面白さがありました。斎藤さんのオススメ通り、楽しく観られました♪