ジャイロスコープ  伊坂幸太郎

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伊坂さんの作品、長編がたまってますが、いきなり文庫で発売の短編集が読みやすそうだったので先に手に取りました。

「浜田青年ホントスカ」
蝦蟇倉市事件の一作で、既読です。このアンソロジーに参加したくて急遽加えてもらったそうで、何だか微笑ましいです^^
スーパーの駐車場の隅で相談屋を開く稲垣氏と、そこにふらっと現れて手伝いをすることになった浜田青年の物語。リドル・ストーリーですが、浜田青年はきっと稲垣氏の言うとおりにしただろうな…と思います。

「ギア」
ワゴンに乗って移動する偶然乗り合わせた人々。その中で不条理な出来事と不条理な会話が展開されます。秀逸なのが謎の生物セミンゴです。疾走するセミンゴの群れ、想像すると怖い…というよりクスッと笑ってしまいそうになります^^;終末系の雰囲気を漂わせながら、スラップスティックな味わいが楽しめます。

「二月下旬から三月上旬」
主人公の慈郎と坂本ジョンの関係は読み始めてすぐ分かったんですが、年代のことなど、他にもいろいろ仕掛けがある様子です。何となく乾いたもの悲しい雰囲気が印象的です。

「if」
バスジャックに乗り合わせた男の「あの時もしこうしていれば…」という思いを、過去に遡る事なく実現するというアイディアが光るストーリーです。
これは「二月下旬~」と違って分かりやすいですね(笑)

「一人では無理がある」
ストーカーに襲われた女性のストーリーを導入に、子供たちの夢を叶えるある会社のストーリーが語られます。
なんて素敵な話なんでしょう^^一番のお気に入りです♪
システム自体は人為的でも、社員の人事は神がかってますよね。おっちょこちょいの社員のミスも、ちゃんと意味があったとは…さすがです、伊坂さん^^

「彗星さんたち」
お仕事小説アンソロジー「エール!3」に収録されている、新幹線の清掃を行うメンバーの物語です。仕事への姿勢、心意気を、軽快な会話とエピソードで爽やかに描いています。
市川くんの、鶴田さんの人生についての突飛な想像が楽しいです。伊坂ワールドならそれもあり得るかも?と思わせるところがありますね。

「後ろの声がうるさい」
新幹線で出会った人々の意外な接点。書き下ろしということで、今までの作品の登場人物が再登場しています。「ザ・まとめ」って感じですね(笑)

最後のインタビューも良かったし、雰囲気の違う作品が楽しめてお得な短編集でした^^



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お、読まれましたね^^サンタのお話はやはり人気がありますねえ。私もお掃除のお話の次か同じくらいに好きです。やはり心が温まるお話がいいですよね。浜田青年のようなミステリー風味も好きですが。 削除

2015/8/2(日) 午後 5:08 ゆきあや 返信する
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>ゆきあやさん

「一人では~」も「彗星さんたち」もいい話ですよね^^
でも、意外と「ギア」も好きだったりします(笑)筒井康隆さん風のドタバタ感と、「オーデュボンの祈り」でもちらちら見せていた不条理感が何だかいい感じにコラボしてる気がします。セミンゴシリーズ化…しないのかしら(笑)
浜田青年もいいですね~。これ、映像化ならやっぱり濱田岳? 削除

2015/8/5(水) 午後 6:55 ねこりん 返信する
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「火星に住むつもりかい?」がちょっと重かったので、こちらは読みやすそうで楽しみです(^^)/いかにも伊坂さんらしい作品集のようですね。 削除

2015/8/11(火) 午後 4:46 [ sinobu ] 返信する
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>sinobuさん

「火星に~」はタイトルは軽妙なのに、内容は重いんですね^^;
「キャプテンサンダーボルト」もまだ読んでないので、次の伊坂作品はこれかな、と思ってます。 削除

2015/8/12(水) 午後 11:26 ねこりん 返信する