生きもの好きの自然ガイド このは きのこの世界はなぞだらけ

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自然ガイドと銘打っているだけあって、食べるのではなく、観察する事に視点を置いた本です。でも、堅苦しい本ではありません。最初に、ベニテングダケを始め、有名なきのこやきれいなきのこの、大判で美しい写真が載っています。まずこれで惹きつけられます。

そして、きのこがどんな場所に生えているかという写真。こういう自然の風景の中にきのこがある写真が大好きなのです。紅葉の下の枯れ木に生えているもの、まるで苔との盆栽のように見えるもの、道路脇に群生する毒きのこなど…生えている場所もさまざまです。
また、何に生えているかというのも、落ち葉、腐った木材、地面などは普通ですが、中にはきのこ自体に寄生するきのこや、虫から生える有名な冬虫夏草、シロアリの巣に生えるオオシロアリタケ、モグラの巣に生えるナガエノスギタケなどの変わり種もあって面白いです。モグラの巣をどうやって見つけるんでしょうね?たまたま付いた胞子がモグラの巣に適応して生き延びているのか…もしかしたら自分で見つける知性があったりして、と考えるとSFみたいですが(笑)
この章にある、ピンクのハナオチバタケの、ガレのランプのような美しさは特筆ものです。

光るきのこの特集は、メジャーなツキヨタケの他、今まで見た事ないほどたくさんの種類が乗っていました。きのこの光るメカニズムはいまだに解明されていないらしいです。下村さんが研究した海洋生物の発光についてが、医学の分野で生かされているように、きのこの発光も今後何かに役立つかも知れません。

他には、胞子の飛び方、胞子紋、きのこの見分け方、標本の作り方、写真の撮り方、きのこに集まる虫、きのこ盆栽の作り方(粘土)など、内容も多岐に渡っています。

今回一番興味を引かれたのは「日本一珍奇なきのこ!?」という1ページだけの特集です。
若手菌類研究者を中心に、2013年に設立された「日本珍菌賞」というのがあって、Twitterで募集されているそうです。きのこだけでなく、カビや粘菌も範疇で、ユニークな生態の菌や、見た目が変わった菌など、サイトに行くと様々な菌が見られます。
ちなみに今年の1位はブルーベリーの花に擬態して、芳香を発し、蜜まで生産するという菌でした。昨年の1位はハンガリーで甘味料としても使われるほど甘い、トリュフの仲間でした。世の中には面白い菌がいろいろあるものです。
この本の著者の1人である、白水貴さんも関わっていて、ご自分のTwitterにもいろいろなきのこの写真をUPしておられるので楽しいです。

見て美しく、新しい発見もあり、最近買ったきのこ本の中でもおすすめの一冊になりました。
そうそう、読者プレゼントは発光きのこマグネットでした(笑)〆切過ぎてたのが残念です。