X’mas Storys 一年でいちばん奇跡が起きる日

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クリスマスを舞台にした、人気作家さんによるアンソロジーです。読むなら今しかないかなってタイミングで読んでみました。

「逆算」 朝井リョウ
自分が生まれるきっかけになった日にこだわるOLの物語。
仕事も上手くいかないし、彼もいない、その上昔の彼が言った言葉が呪縛みたいになってるせいで、日付やPCのパスワード更新のカウントダウンが気になりすぎるというのがちょっとコワいです。でも、ラストはオチになってて、重くないので良かったです。

「きみに伝えたくて」 あさのあつこ
学生時代に付き合っていた2人の意外な運命を描いた恋愛ホラーです。
これは驚きの展開でした。場面を想像すると怖すぎるけど、彼の誠実さには泣けます。

「一人では無理がある」  伊坂幸太郎
ストーカーに襲われた女性のストーリーに、子供たちの夢を叶えるある会社のストーリーが関わってきます。
ジャイロスコープ」所収で既読ですが、何回読んでもいい話です^^ 2つがつながる爽快さはさすが伊坂さん!

「柊と太陽」  恩田陸
再び鎖国をしてしまった日本で、クリスマスはどのように行われているのでしょうか。
元の西洋文化が忘れ去られ、後世にこじつけの日本文化として伝わってるのが面白いです。でも、結局ただのしゃれのような気がしますが^^;

「子の心、サンタ知らず」  白河三兎
リサイクルショップの店長である女性の生意気な息子に、いつも言い負かされる主人公。プレゼントを買うためのお金を上手く使う作戦に協力させられますが…。
9才にしては悪知恵働かせすぎって感じですが、意外にもラストにほっこりさせられます。

「荒野の果てに」  三浦しをん
キリシタンが迫害される時代からタイムスリップしてきた武士の卯之助と農民の弥五郎。現代の様子とクリスマスにカルチャーショックを受けます。
いちいち驚く2人がかわいらしいです。スマホが「からくり札」っていうのに笑いました(笑)
宗教の自由が認められている現代の日本と、自分の時代を比べて、思いを新たにする二人が心に残ります。

伊坂さん、あさのさん、三浦さんの作品が特に好きでした。それぞれタイプが違う物語なので楽しめると思います。でも、「奇跡」って銘打ってるわりにそうじゃない話もあるので、そこは統一感出してほしかったです。