有頂天家族 二代目の帰朝  森見登美彦

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「阿呆の血のしからしむるところ」の無鉄砲な下鴨矢三郎を中心に、狸の下鴨四兄弟の騒動を描く物語第二弾です。

天狗の赤玉先生の二代目が英国から戻って来るのですが、赤玉先生との確執、かつて一騎打ちをした犬猿の仲である弁天とのその後は?というのが物語の中心なのかなと思っていましたが、次々いろんな事件が絡んでくるので、二代目の出番は思ったより少なかったです。
やっぱり、天狗より(二代目は「天狗ではない」と言い張ってますが)毛玉たちの方が魅力的なんですよね。

狸社会の総代である偽右衛門をめざす下鴨矢一郎が無事偽右衛門になれるのか、というのが、二代目のこと以上に大きな出来事でした。相変わらず夷川家の早雲や金閣銀閣たちが邪魔してくれましたね~。でもやっぱりそうでなくちゃ面白くありません(笑)
三階建ての電車を駆っての、ラストの大騒ぎは『夜は短し~』を彷彿とさせます。
でも、矢三郎、何で○○○の屋敷に電車突っ込んじゃったんでしょうね。特に悪いこともしてないのに。実は恋愛絡み?

恋愛と言えば、元許嫁同士の矢三郎と海星の進展も気になりました。海星、口は悪いけど、かごをかぶってるのは矢三郎のことを考えてのことだったんですね。可愛いじゃないですか^^矢三郎、弁天に惑わされたりしないで、海星一筋で行ってほしいですね。
矢一郎と将棋友達の玉瀾の二匹も初々しくて良かったです^^

新キャラの夷川家長男、呉一郎の登場はミステリアスでした。いい人過ぎてかえって怪しさ満点でしたが^^;

天狗など人外の者たちが登場するにも関わらず、狸鍋を食べる集まりの「金曜倶楽部」に跋扈する人間達が一番妖怪じみてたような…。
特に天満屋は極悪ですね。撃たれた狸たちが大怪我でなくて良かったです。

カエルに変身したまま井戸の底にいた矢二郎も、矢一郎のために出てくるし、可愛い矢四郎も偽電気ブラン工場で生き生きしてるし、下鴨四兄弟の仲の良さに癒やされます。

弁天を巡る恋愛模様?を見ると、これは続きが気になりますね。毛玉たちのさらなる活躍が楽しみです^^