宇宙探偵マグナス・リドルフ  ジャック・ヴァンス

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白髪白鬚、哲学者であり数学者の顔も持つ、宇宙を駆け巡るトラブルシューター、それがマグナス・リドルフです。

落ち着いた物腰で丁寧な言葉遣い、一見大学教授のようですが、さまざまな事業を手がけ、儲けているはずなのにいつも借金取りに追われています。
そのため、いろいろな星で事件解決を請け負い、収入を得ています。
謎を解明することで、リドルフを「老いぼれヤギ」とバカにしている連中の鼻を明かし、大金をふんだくる痛快さが、このシリーズの持ち味です。

惑星ココドの因習である合戦賭博をやめさせる策を練る「ココドの戦士」
スクレロット星の正体不明の凶悪な犯罪者を見つけ出す「禁断のマッキンチ」
様々な星からの旅行客が訪れる補給港で起こった殺人を解決する「とどめの一撃」
オイルサーディンの工場で、サーディンを大量に捕獲する装置の秘密を探る「ユダのサーディン」
など、方法や犯人を探るミステリになっているのですが、普通のミステリと違うのは、それぞれの星のユニークな宇宙人達が事件に絡んでいることです。宇宙人の生活習慣や特徴が生かされているのが面白いです。
また、星の地形や植生、生物なども丁寧に描写され、リドルフと共にその星を訪れるわくわく感があります。

しかし何と言っても、リドルフのキャラクターですね。丁寧な物腰は、事件が進むにつれ慇懃無礼に^^;相手は悪人とは言え、リドルフのやっていることもけっこうあくどいです(笑)相手を破滅させる示唆を与える心理操作を行うとか…。
リドルフ自身もすれすれのことをやってるので、悪人の気持ちが分かるのかも知れません(笑)

ベスト10を賑わわせた作品でもあるし、SFミステリが好きならおすすめです^^