にっぽん氷の図鑑  原田泉

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「氷の図鑑」と銘打っているだけあって、人気かき氷店の様々なかき氷がこれでもかと並んでいます。
子供の頃それほどかき氷を食べた記憶はなく、今でもたまにしか食べない私ですが、見るのは大好きです。花の図鑑のように色鮮やかな氷の図鑑は見ても楽しめます。真っ白な氷をキャンバスにして、ソースやフルーツで染め上げられた1つの作品のようです。
パフェも確かに色鮮やかで美しくおいしいですが、かき氷の食感とさっぱりとした味わいは涼を呼ぶし、日本の夏という感じがするのがいいです。

残念ながら抹茶が苦手なので、フルーツ系の方に行ってしまうのですが、かき氷好きの聖地と呼ばれる埼玉の「慈げん」の、「生いちご」や「グレープフルーツ和三盆仕立て」は食べてみたいです。
山形の「乃し梅本舗佐藤屋」の「乃し梅氷」も梅味が大好きなので気になります。
世田谷の「雪うさぎ」の、小玉すいかを半分に切った上に盛られた、その名の通りの「小玉すいか」もおいしそうです。

一番行ってみたいのは、奈良にある「ほうせき箱」。軽やかで美しい氷にフルーツがトッピングされて、中にも宝石のようにフルーツが隠されています。サイトでも画像を見ましたが、本には載っていなかったリトマス試験紙のように色が変わるかき氷があるそうです。

おいしいかき氷を食べるためなら遠征もいとわない、というくらいかき氷が好きな人を「ゴーラー」というらしいです。ゴーラーは一度に2杯も3杯も食べてしまうそうで…。しかも、冬にも並んでまでかき氷を食べるとか。強靱な胃腸の持ち主しかゴーラーになれそうにないですね。
ゴーラーの方の対談が載っていて、かき氷を主食にするくらいかき氷を愛している人、愛が募ってとうとう自分でかき氷店を開いてしまった人など、ディープなかき氷愛が展開されます。

奈良の氷室神社で行われる献氷祭には、日本各地のかき氷屋さんや製氷・冷蔵関係者が出席し、祝詞の奏上や舞も行われて、氷の神様を祀るそうです。もちろん参拝者には「福氷」も振る舞われるのだとか。氷が神事と関わっているというのは興味深いですね。

今まで食べたかき氷で印象に残っているのは、京都の「季の音」で食べた「ゆず氷」です。皮も入ったさっぱりとした柚子のシロップがかかり、中にはオレンジやキウイなどのフルーツが入っています。食感、口溶けもよく、おいしく頂きました。

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この夏博多のチョコレート店、「イヴォ・コルシーニ」で食べたかき氷「雪もも」。桃味のパウダースノーに、桃アイスと生の桃が載っています。別添えの桃ソースはお好みで。口の中でふわっととける感覚と、桃づくしの味がたまりません。これは厳密に言うとかき氷ではないのかも知れませんが、ふっと吹けば飛んでしまうパウダースノーは新鮮な食感でした。

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すぐに行けるお店は載っていないけれど、目に美しく味を想像するのも楽しい氷の図鑑でひとときの涼しい時間を過ごせました。