ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~ 田中経一

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佐々木は、死を前にした人間が最期に望む思い出の料理を作ることを生業にする料理人です。
しかし、彼の元に、あるレシピを探してほしいという依頼が舞い込みます。
それは、戦時中の満州で、満漢全席を超えるフルコースのレシピを作成することを軍から請われた、山形という料理人が考えた、渾身のレシピでした。

依頼人の楊という男は何者なのか、満州引き上げの直前に亡くなった山形の死の真相はどうなのか、究極のレシピに秘められた謎は、そしてレシピはどこにあるのか、と、いくつもの謎が積み重なっています。
現在パートと、過去パートを行ったり来たりする中で、山形の思いや、レシピに関わる人々の関係が明らかになって行きます。

しかし、物語で1番の謎は、レシピのことではなく、佐々木自身に関わることでした。

最後に載っている、二百以上の料理名がずらりと並ぶ、レシピのお品書きは壮観ですが、読み終わって、何か物足りない気がするのは、これだけのレシピのほんの数品しか作るシーンがないことでしょう。素晴らしい料理の数々、もう少し、見せてほしかったなあと思いました。
二宮くん主演の映画ではどのように描かれているのか、気になります。