友罪 薬丸 岳

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自分の親友や恋人が、子供の時、世間を震撼させるほどの重大犯罪を犯していたら、それを知る前と同じように付き合っていくことができるか、という重いテーマの作品です。
映画化もされていて、犯罪を知る側である益田を生田斗真くん、犯罪の当事者の鈴木を瑛太が演じてます。でも、読んでいて、私のイメージは、益田を妻夫木聡、鈴木は綾野剛でした。あれ、この組み合わせ、他の映画かな…。

ジャーナリストを志しながら、挫折した益田は、中学時代に自殺した友達のことに責任を感じ、未だにその記憶に苛まれていました。

希望の職につけず、一時しのぎの職として就いた、ステンレス部品の会社で、同時に採用されたのが鈴木です。鈴木は、人を寄せ付けない雰囲気を醸し出している男でしたが、益田が何気なく言った一言が鈴木の心を捉え、それ以来鈴木は益田を大切な友人と感じるようになり、だんだんと人付き合いも良くなります。

鈴木が、あいついい奴だな、と思われるようないい人なんですよ。過去の犯罪で人間を決めつけていいのか、ほんとに考えさせられます。ただ、犯罪の種類がね…。
人は更生の機会を与えられる必要があるし、新しい人生を送る権利もあると思うけど、被害者側からしたら、許せないのは当然だし。
周りにいる人間の気持ちも想像できるし。
すごく難しい問題に切り込んだ作品だなあと思います。

この物語には、2人以外にも、隠したい過去を持っていたり、家族が人を死なせてしまったりする人間が登場します。
それぞれの立場に立って、鈴木のことを考え、行動しているのが興味深いです。

自分に似たような経験がなくても、登場人物の誰かに共感しながら読めるのではないかと思います。

欲を言えば、ラスト、鈴木の様子で終わってほしかったです。