屍人荘の殺人 今村昌弘
神紅大学のミステリ愛好会に所属する葉村は、会長で神紅のホームズと呼ばれる明智と、大学で探偵少女として有名な剣崎とともに、映画研究会の夏合宿に参加することに。
そこで起きた未曾有の事態により、参加者たちは外界との接触を断たれます。そして、殺人が…。
この冬一番の話題作と言っていいでしょう。
名だたるミステリベスト10で第1位、しかも鮎川哲也賞を受賞してデビューした第1作というのですから驚きです。
いわゆる吹雪の山荘に代表される、クローズドサークルものですが、そうなった理由が普通じゃないです。そのため、バカミス扱いされることもあるようです。
しかし、その異常な状況が、トリックと密接に関わっているのが、本格ミステリとして評価されている点なのでしょう。
まずその状況自体が恐ろしいのですが、自分がとんでもない状況に置かれているにも関わらず、冷静にそれを殺人に利用しようとする犯人の心理がもっと恐ろしいです。
最初に、葉村と明智が、学食のメニューを巡って、たわいも無い推理合戦をするシーンがあるのですが、いかにも学園ものらしい、ほのぼのする明るさが、のちにこれほど劇的に変わってしまうとは…。
また、それ以外にも驚かされるところがあり、これは、第1作だからこそできた冒険でしょう。シリーズものだったら、ここまで思い切った展開はできない気がします。
なにを書いてもネタバレになりそうで、書くのが難しいですが、自分なりに推理してみても、その上を行く展開が待ち受けています。
気になったのは、まだらめの漢字表記が、斑目と班目が混在してた事です。
斑目が使われていたのは登場人物の説明欄だけですが。
今までに、読んだことがないタイプのミステリでした。第1位なのも頷けます。
こんな手があったのか!と思いましたよ。
確かに、2つめの殺人については、〇〇が行うにはかなり難しそうですね。
最近は大学のサークル絡みでろくでもない事件が起こってるので、現実にあることなのかも。女性としては当然ムカつきます。
トリックはかなり強引かなとは思いました。
でも、たかが大学の先輩後輩でああいうのを献上するってありえな~いと思っちゃいました。女性だとあのあたりの下りはむかつかないですか?