DESTINY 鎌倉物語  監督 山崎貴

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鎌倉は私にとって魅力的な場所で、特集していた雑誌を買ったこともありますが、問題は坂道の多さです。散策するのに乗り物ばかり乗るのも何だかなあ…と思って、いまだに行けずにいます。

この映画の鎌倉は、河童などの妖怪が普通に人間と共存している、まるで梨木香歩さんの家守綺譚のような世界です。鎌倉って地元の人にとっても、そんなイメージのある場所なんでしょうか?

主人公はミステリー作家一色正和(堺雅人)。彼と結婚した亜希子(高畑充希)は、普通に起こる怪異に初めは戸惑いますが、そのうちにそれが日常として受け入れていきます。

怪異譚と夫婦愛というコンセプトに間違いはないのですが、正和が怪異の関わる事件を解決する探偵もやっていたり、ある理由から黄泉国に乗り込んだり、巨大な妖怪と戦ったり、最初の梨木さん的な情緒は途中からどこかに行ってしまいます。
黄泉国に行く電車や、黄泉国の造形は千と千尋を彷彿とさせる感じでなかなか良いです。

妖怪とのシーンも、監督さんがVFXが得意な方らしいので、違和感なく迫力もありましたが、最後のへんは迫力ありすぎて妖怪大戦争みたいになっちゃってましたね。

そして、やっぱり堺さんですね。ほのぼの飄々とした雰囲気が、こういうちょっと古風な感じのする役にはぴったりです。充希ちゃんとの夫婦役は、充希ちゃんがだいぶ年が離れてるからどうかなあと思ってましたが、若い妻をさりげなく導きつつも実は振り回されてる夫、甘えん坊だけど、夫の事を誰よりも信頼している妻、お互いを思う気持ちが伝わってきて、こんな夫婦もいいなあと思わされました。

また、正和がミステリー作家ということもあるのか、ストーリーとしても、思わぬどんでん返しや、正和に関わるミステリーが仕組まれているので楽しめます。

堤真一さんが思わぬ役で出ているのと、あの神様のような存在感のある田中泯さんが、同じ神でも貧乏神を演じていたのに驚きました。安藤サクラさんは死神だったし…。

最初のイメージとはちょっと違いましたが、嫌な雰囲気やエピソードのない映画なので、安心して観られます。家族で鑑賞するのも良さそうです。