白骨の語り部 作家六波羅一輝の推理  鯨統一郎

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主演の俳優さんが好きだったのでドラマをまず見て、六波羅一輝のキャラに惚れ込んだのですが、ドラマでいくつか納得できないところもあって、原作で確認してみようと思って読み始めました。

六波羅一輝は東大出身ですが、作家になりたくて他の大学に入り直したという異色の経歴。第一作がベストセラーになったのですが、書いていると「ライターズ・ハイ」になり、意識を失っているうちにいいアイディアが浮かび執筆という自動筆記で書き上げたものです。そんな六波羅が、取材先で不思議な事件に出会い、編集者のみなみと一緒に自動筆記の力も借りながら事件を解決します。

遠野物語の舞台である村を牛耳っている昆家、主亡き後、女主人として家を切り盛りしている松子、そして市子、有希子、千明、はるひの四姉妹。
何だかもう、設定からし犬神家の一族なんですが。
有希子が行方不明になり、何と一日後に白骨死体となって発見されます。白骨は本当に有希子なのか、もしそうなら、どうやって白骨になったのか。それが謎の中心となります。

六波羅は一作目を書いてから全く長編を書いていなくて、新作を書くための取材旅行として村を訪れているので、みなみから期待というかかなりせっつかれています。二人のやり取りが完全にコメディなのはドラマの方で、原作はラブ色が強いです。六波羅はみなみの憧れの作家で、無理やり担当になったのです。
旧家のおどろおどろしい雰囲気、殺人事件自体は陰惨なものですが、六波羅とみなみのコンビが和ませてくれます。

ドラマで一番納得できなかったのは、有希子が女性と一緒にいるのを六波羅たちが見かけていて、しかもその女性は有希子の婚約者ともめ事を起こしていました。それなのに、その女性が捜査線上に浮かぶ気配がありません。真っ先に疑われても良さそうなのに…。
でも、原作ではちゃんと捜査されていました。ドラマは白骨にこだわりすぎて、他のことが捨て置かれた気がします。
また原作ではドラマでは割愛されていた驚きの黒幕?の存在について言及されます。
雰囲気だけでなく、設定やトリックも犬神家を彷彿とさせるので、もしかしたら犬神家のオマージュ作品なのかも知れません。でも、とても面白い作品だと思うので、このシリーズまた読んでみたいです。ドラマは三作目まで作られています。