ハリー・ポッターと死の秘宝  J.K.ローリング

イメージ 1ついに終わりましたね、十年かけたこのシリーズが。分霊箱のありかを探す冒険と、ダンブルドアとスネイプの真実、ヴォルデモートとの最終決戦がこの巻の見どころです。
以下、完全ネタバレになってしまうので、反転してお読み下さい。

スネイプがどんなにハリーの母親のリリーを愛していたかが、33章で語られます。そんな大切な人になんで「穢れた血」って言ってしまうかなあ…屈辱的な目にあったところを一番見られたくない人に見られ、自分が守りたいと思っている人に反対にかばわれるというのがスネイプにとっては最悪のことだったのは分かるけれど…。絶対に言ってはならない言葉を言ってしまったために、リリーとのつながりは完全に切れてしまいます。あとは陰でリリーを守り、ハリーを守ることに一生を捧げたスネイプ。憎いジェームズの息子であり、愛しいリリーの息子であるハリーを見てどんなに複雑な感情が渦巻いていたことでしょう。最期の言葉「僕を…見て…くれ…」はハリーの緑の目の向こうにリリーを見ていたのですね。誰からも愛されなかったスネイプが心の底から願ったたった一つのこと。なんて悲しい一言なのでしょう。涙なくしては読めません;; それにくらべて、ハリーの父親ジェームズの、甘やかされて育ったボンボン的な態度には腹が立ちます。単なるいじめっ子ですね、この人は。若気の至り、というだけでは片付けられません。非業の死をとげた、主人公の父親というのにも関わらず、この人物造形は変わってますね^^; スネイプの死は予想していたのですが、フレッドが死んでしまったのは本当にショックでした。あの明るい双子の兄弟の一人がいなくなってしまうなんて信じられなかったです。19年後、ジョージがどのようにして暮らしているのかも知りたかったです。 この巻で驚いたのはネビルのたくましさです。劣等生で、一巻では気絶させられるだけだったネビルですが、今は誰よりも勇気と行動力があり、みんなから一目置かれる存在になっています。ヴォルデモートに堂々と言い返し、蛇のナギニをグリフィンドールの剣で見事に退治する姿に、成長したなあ…と感動します。薬草学の先生にまでなるなんてすごいですね。 主人公の3人もネビルくらいに人間的に成長してほしかったかなあ…という気がします。ハリーは人の言うことを聞き入れず、すぐにイライラするし、ロンは分霊箱のことがあるとしてもわがまますぎるし、ハーマイオニーはすぐ怒るし…みたいなw でも、ハリーの「僕はもう、一生分の厄介を十分味わったよ」という言葉に、ハリーもロンもハーマイオニーも、17歳としてはあり得ないほどの出来事を乗り越えて来たんだ…と思いました。これだけ亡くなった人がいると、とてもハッピーエンドとは思えませんが、苦しかった17年間を超える時間、幸せに過ごしてきたんだな、と思えるラストにはホッとしました。