アマバルの自然誌  池澤夏樹

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早すぎる寒波の到来で、県内では雪が積もったところもありました。
この本は自然の中で読みたいと前に書いたことがありましたが、もうそんな時期ではなくなってしまいました。
そういうわけで、こたつに入りながら沖縄の自然にひたる私です^^;

池澤さんが住んでいたのは沖縄島の太平洋側にある村です。家からは東向きに海が見え、美しい朝日が見られるそうです。

この本では鳥、動物、虫、植物などさまざまなものが取り上げられています。写真もすべて池澤さんが撮っていて、なかなか美しいです。でもかわいい物ばかりではなく、ヘビ、ムカデ、毛虫、クモなどえり好みせず載っているので、嫌いな人はいきなりそんな写真をばーんと見てしまって((((((サササッ)と引いてしまうかも知れません^^;私も一部さわりたくない物はありますが、写真は基本的にだいじょぶなので、楽しんで読みました。

興味深かったのは、サンゴのかけらに生えた、植物とも動物ともつかないもの。池澤さんも一生懸命観察して調べたようなのですが、結論―「わからない」
おもしろいことにこの本には、そういう名前がわからないままの物がけっこうたくさん出てきます。シギ(?)セセリチョウ(?)などなどw 専門家に聞くなどして何が何でも調べるぞ、ではなく、分からない場合はほうっておいて、あとで分かることもあれば、そのままになってしまう物も…というスタンス。奥地に入って珍種を探したりするのではなく、散歩がてら見つけたような物が多く、池澤さんがあとがきで書かれているように、小学生の夏休みの宿題のような素朴さが感じられます^^

他にも、モミジバヒルガオっていうのは、園芸用の西洋朝顔に似てるなあとか、越冬前にスズメバチの新女王と交尾して一生を終える雄の群れがいるとか、ハイビスカスの原種は葉が紫色だとか、知らなかったこともいろいろあって楽しめました。

沖縄の海はどこも美しく珊瑚があって熱帯魚が泳いでいて…と思っていたのですが、そういう様子は慶良間諸島竹富島など一部の海で、池澤さんが住んでいた辺りの海は、死んだ珊瑚のかけらが延々と散り敷いた砂漠のような海だったことに驚きました。土地開発の影響で赤土や汚染物質が流れ出ることによって、長い間培われてきた沖縄の自然が短い期間に失われてしまっているのです。これからも年々自然は失われて行くのでしょうか。10年後、20年後、珊瑚の海が狭まっていないことを祈るばかりです。

ジェラルド・ダレルのコルフ島三部作を訳している池澤さんが、ダレルのように身近な自然に目を輝かせている、そんな姿が目に浮かぶ本でした。生き物好きの皆さんにぜひおすすめしたいです^^


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池澤さんはいろんなところに住んでらっしゃいますよね~^^。ギリシアだったりフランスだったり沖縄だったり。。。すごくいろんなことにアンテナを向けてるんでしょうね^^ねこりんさんの感想を読んでいるだけで、なんとなくダレルの面影も見えてきました。 削除

2008/11/21(金) 午前 0:57 チルネコ 返信する
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>チルネコさん
池澤さんの小説作品の方はあまり読んだことがないので、いつか挑戦してみたいと思っています。いろんな場所に住んだ経験が、小説の中でも生かされているのでしょうか?
この本には猫は出てきませんが、思わぬ小動物が出てきて楽しいですよ^^ 削除

2008/11/22(土) 午後 1:28 ねこりん 返信する
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池澤さんは大好きなのですがクモ(虫の中で一番苦手^^;)の写真がダメでこの著作は読めてないのです。
でも彼のおかげで多少なりとも沖縄のことが知ることが出来てありがたいなぁと思っています。
いつかクモを克服できる日が来たら読んでみたいと思います(^^) 削除

2008/11/25(火) 午後 10:32 [ chi*on*ne*ao ] 返信する
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>ぐぅさん
クモの他にもけっこうインパクトの強い写真がいろいろあるので、無理におすすめはしません^^;でも、自然っておもしろいなあ…と思わされる本です^^
クモは蚊や蛾をとってくれるので、我が家では見て見ぬふりをされていますw 削除

2008/11/26(水) 午後 7:44 ねこりん 返信する