朝日のようにさわやかに  恩田陸

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まだ大作に挑戦する余裕がないので、「いのちのパレード」がお気に入りの一冊になった恩田陸さんの「朝日のようにさわやかに」を読むことにしました。

「水晶の夜、翡翠の朝」
理瀬シリーズを読んでないので、このシリーズの初読になりました。萩尾望都の「トーマの心臓」のような学園の雰囲気と「笑いカワセミに話すなよ」の歌のミスマッチがユニークでした。ヨハンがどういう人生を送ってきてるのか、他の話を読んでみたいです。

「ご案内」
注文の多い料理店」みたいですね。言われた通りに行動して行き着く先は…。

「あなたと夜と音楽と」
何となく犯人は読めてしまいましたが、犯人を追い詰めていく手だてについてはおもしろかったです。でも、「ABC殺人事件」のオマージュというところが今一つピンと来ませんでした。あとがきにあるように、記憶の中の小説と違っているのかしら…?

「冷凍みかん」
「それ」以外の冷凍みかんを食べちゃってるとこがすごいですね^^;今まで停電したときにはどうしてたのか気になりますw

「赤い毬」
赤い毬と、熊笹の海、打ち寄せてくる本物の海のイメージが鮮やかです。恩田さんらしい、想像力が喚起される作品で好きです^^

「深夜の食欲」
いかにも異形コレクションという感じの話です。ワゴンの名前「ヘイスティングス」はポアロの相棒の名前じゃなかったですか?

「いいわけ」
モデルは「言わずもがな」とありましたが、はっきりとは分かりませんでした。でも、どこかの国のボスのことでしょうか…?^^;

「一千一秒殺人事件」
稲垣足穂さんの「一千一秒物語」は、たむらしげるさんがイラストを描いている本を持っています。擬人化した星や月の出てくる、イメージの奔流のような小品集です。たむらさん自身が足穂さんに影響を受けているので、二人の雰囲気がぴったりあった本です。
中には「星におそわれた話」とか「お月さまとけんかした話」などけっこう物騒な話も入ってるので、そのイメージを生かした話なのでしょう。

「おはなしのつづき」
いろんな読み方のできる作品だと思います。私は、とても怖い話だと受け取りましたが…

「邂逅について」
あとがきにあるように、恩田さんが実際に見た絵にインパクトを受けて書かれたものです。これはそのまんま、詩ですね^^中井英夫さんへのオマージュとしての作品なのですが、中井さんの作品を読んだことがないので、つながりが分からないのが残念です;;

「寂しいお城」
「寂しい子供を集めている寂しい王様」という設定がいいですね。これはぜひ「ミステリーランド」で長編化してほしいです。「みどりおとこ」のイラストが見てみたいです。

「楽園を追われて」
遺稿がヘタっていうところに、よけいに故人の人柄が表れているような気がしました。原稿を遺した意図といい、なるほどなあと思いました。

「卒業」
乙一さんテイストもあるようなスプラッタホラーです。短いので説明不足のまま話が進んで「…?」なところも多いですが、インパクトはあります。映画の「CUBE」とか、連想するものが多かったです。この世界は数え年なんですね^^;

「朝日のようにさわやかに」
グロールシュの壜、ウインストン・マルサリスのマウスピース、蓮、ところてん。これらにどんなつながりがあるのか…?恩田さんのもつイメージの連鎖の妙が感じられます。

特に心に残ったのは「水晶の夜、翡翠の朝」「赤い毬」「寂しいお城」です。 どちらかと言えば「いのちのパレード」の方が私好みの作品集でしたが、この本も恩田さんの引き出しの多さが感じられて楽しめました^^





僕は「水晶の夜、翡翠の朝」が目当てでというか、理瀬シリーズ目当てで本書を読んだクチです^^。ヨハンのたどる道が少し解りましたが、僕的には聖のが好きなキャラだなって読んで思いました(笑)「赤い毬」は恩田さんらしさがありましたよね。変わってるのかも知れないですが、この短編集では「冷凍みかん」が僕の白眉でした^^変?w 削除

2008/12/14(日) 午前 0:53 チルネコ 返信する
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気に入った作品、結構かぶってます^^私も「いのちの~」の方が短編集としては好みなのですが、こちらもバラエティに富んでいて、恩田さんらしさが出ていましたね(わかりにくいのもありましたが^^;)。「おはなしのつづき」は友人とラストの受け取り方が分かれた作品です。私は切ない話だと思ったんですが・・・。TBさせて頂きますね。 削除

2008/12/14(日) 午前 8:43 べる 返信する
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>チルネコさん
私設図書館をよくよく見ると、「麦の海に沈む果実」を文庫で買っていたので今度読んでみますね^^
「冷凍みかん」は「凍ってたら大丈夫」っていう発想がおもしろいですね。恩田さんも、食べる前に溶けちゃって、まわりがびしょびしょになった経験がありそうw 削除

2008/12/14(日) 午後 2:52 ねこりん 返信する
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>べるさん
「おはなしのつづき」は、なぜ父親が白雪姫の継母の苦悩についてあれほどまでに語ったかということが焦点になりそうですね。
恩田さんの短編集はまだ「図書室の海」を読んでないので、読むのが楽しみです^^ 削除

2008/12/14(日) 午後 3:25 ねこりん 返信する
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最近でこそ、恩田さんの短編もいろいろ出てきましたが、本来は長編の方がお好きみたいですね♪
私は、理瀬シリーズが好きなので、ヨハンくん狙いで読みましたww
「図書室の海」にも理瀬シリーズが入ってるし…「六番目の小夜子」のスピンオフもありますよ♪
TBさせてくださいね♪ 削除

2008/12/17(水) 午後 10:15 チュウ 返信する
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>チュウさん
恩田さんの代表作といえるものをけっこう読みのがしてるので、これから少しずつ読んでいきたいです。
理瀬シリーズ、「三月は深き紅の淵を」を読んでたことに気づいたので、次は「麦の海に沈む果実」を読んでみようと思ってます^^ 削除

2008/12/18(木) 午前 0:15 ねこりん 返信する
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色々なテイストのお話が楽しめるお徳感溢れる一冊でした♪
私も「寂しいお城」に関しては「ミステリーランド」で、是非読みたいと思っちゃいました(*・∀-)☆
トラバさせてくださいね♪ 削除

2008/12/21(日) 午前 6:47 金平糖 返信する
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金平糖さん
ミステリーランド」は少しずつ集めてるんですが、高いので古本屋でしか買っていません。だから、恩田さんの作品出てもすぐには読めないかなあ…図書館にはこのシリーズなかったような気がします;; 削除

2008/12/21(日) 午前 11:50 ねこりん 返信する
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ミステリーランド、図書館にありませんか?私の利用している図書館にはヤングアダルトのコーナにあります。もしかしたら児童書の書架に置かれているシリーズかもしれませんね。 削除

2008/12/22(月) 午前 10:33 金平糖 返信する
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金平糖さん
う~ん、確かそっちにもなかったような気が…;;
でも念のため、今度行ったとき確認してみますね。
ありがとうございます^^ 削除

2008/12/23(火) 午前 1:52 ねこりん 返信する