氷菓  米澤穂信

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物事に深く関わるのが苦手で、「灰色」と友人に称される高校生折木奉太郎は、姉の頼みで古典部に入部します。そこで、同じ古典部の友人に頼まれ、様々な謎を解き明かすことに。

私は大学時代、中古文学(平安文学)研究室にいました。つまり、源氏物語とかあのあたりです。だから、古典部所属、と言ってもいいかもですw
でも、「氷菓」での古典部は、いったいどういう活動をしてるんでしょうね?前の文集も、実際どんな内容だったのかは「なんでもあり」という以外触れられてなかったし…。何かの原典を探る、ということが古典であるという解釈なんでしょうか^^;

そう考えると、奉太郎たちが取り組んだ千反田の伯父についての謎は、古典部の活動としてふさわしいかも知れません。
古典部部長千反田えるは、小さい頃伯父から古典部の話を聞いていた時に大泣きした思い出がありました。その時に自分が何を聞いたのか、伯父の態度の不自然さはなぜなのか…。それを探るのがこの物語のメインです。

わずかな断片をつなぎ合わせての奉太郎の閃きと推理はホームズのようです。(あ、だから奉太郎?)事件に関する資料を持ち寄った時の古典部の面々の解釈も一人一人の個性が出てますね。ただ、机上の空論でしかない内容を確かめるのに、多少都合の良い展開もありましたが^^;
自分が高校生だった時を考えると、まあ、自分と比べるのも問題あるのですが、この人たちほんとに高校生?と思います^^;時々、あれ、大学生だったかな?と思ってしまいました。牽強付会って何?w(道理に合わないことを、自分に都合のよいように無理にこじつけること、だそうです)

日常に潜む謎を解決するという内容は、米澤さんの「~限定」シリーズと共通しています。主人公が本当は事件に関わりたくないのに、つい関わってしまうところや、解決したあとに残るビターな後味も似ています。
でも「氷菓」では、事件に関わることで、「灰色」であった奉太郎が色のある高校生活に近づこうとするところが、明るい要素です。

氷菓」というタイトルにまつわる謎は「…」という気がしましたが、語感は好きです。
愚者のエンドロール」「クドリャフカの順番」もユニークなタイトルで気に入っています。古書店で見つけてキープ済みなので、そのうち読んでみたいと思っています。古典部としての活動内容も、もう少し具体的に知りたいです^^