オーデュボンの祈り  伊坂幸太郎

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初めての伊坂さんの本との出会いは「ラッシュライフ」でした。もちろんすてきな本でしたが、この「オーデュボンの祈り」は、これからもずっと伊坂作品を読んでいこうと決めた、私にとって宝物のような本です。

パラレルワールドのような荻島で生きる不思議な人たちと未来を読むかかしの優午、そこで起きる事件。すべてがあり得ないような設定なのですが、一度その世界に入り込んでしまうと抜け出られなくなります。
何でかかしがしゃべるのか?と疑問を持ったところで急に時代小説になり、優午が作られた理由と仕組みが語られますが、普通なら「???」となるような説明も、それまでにどっぷりこの世界観につかってしまっているので、違和感なく読めるのが不思議です。

優午というキャラクターにとても心惹かれます。すべてを見通した優しさと穏やかさが全編を通して音楽のように流れているように感じます。
桜も好きです。すばらしく美しく、正義の天秤を掲げるように島の中で殺人を許されている人。伊坂さんの小説には、完全な悪、というのがよく描かれますが、必ず胸がすくような結末が待っているのがいいですね^^

優午の「午」、という字は、かかしが立っている姿に似ていると思います。頭のところがありませんが、「頭が持ち去られる」というこの事件に引っかけてあると思うのは深読みでしょうか?だから、優午の名前は「優しいかかし」 ぴったりの名前だと思いました。

題名も、内容に深く関わっているんだなあと、読み終わってからしみじみ思わされる作品です。「アヒルと鴨のコインロッカー」もそうでしたが、題名にまで伏線があるのが伊坂さんの作品ですね^^



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自分も「オーデュボンの祈り」と「ラッシュライフ」を読んで、これから先ずっと読もうと思ったので、ねこりんさんの気持ちはとってもわかります!
それにしても「優午」の名前に関する考察にはビックリしました。
ナルホド~伊坂さんなら有りえますね。
全然気付きませんでした~(笑)
こちらからもトラバさせてくださいね。 削除

2008/8/10(日) 午前 11:17 [ テラ ] 返信する
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自分は「ゴールデンスランバー」で伊坂さんのイメージががらっと変わり「オーデュボンの祈り」から読み逃している作品を読み始めました。その第一弾の作品ですがこれがデビュー作!?と驚くほどの感性度、すっかり伊坂作品にハマってしまいました^^TBさせてください。 削除

2008/8/16(土) 午前 9:39 hayaton 返信する
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>テラさん
深読み&勝手な解釈ですが、そういうのがあるかも?と思うだけでも楽しいですよね^^ 削除

2008/8/23(土) 午前 10:25 ねこりん 返信する
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>はやとんさん
 これからも伊坂作品を応援しましょう^^CREAの特集記事がおすすめですよ。 削除

2008/8/23(土) 午前 10:26 ねこりん 返信する
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テラさん↑↑から飛んできたチュウと申します♪(あ!はやとんさんもいる♪)
「午」の文字!そうですよね!気づきませんでした\(◎o◎)/!
優しいカカシ…カレにピッタリですよね♪
TBさせてくださいね♪ 削除

2008/9/9(火) 午後 4:33 チュウ 返信する
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伊坂さんの作品をたくさん読まれているのですね^^ブログ作って間がないので、まだあまり感想載せていませんが、これから伊坂作品もどんどん載せていきますね^^ 削除

2008/9/9(火) 午後 8:06 ねこりん 返信する
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本書で伊坂作品のモチーフのルーツに出会え、色々な発見がありました。
出版順に読んでこなかったものですから、今まで謎に思っていたこともすっきり。
トラバさせてくださいね。 削除

2008/9/11(木) 午後 0:29 金平糖 返信する
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未来は神様のレシピで決まる」この名文句、初出ですね。
文庫化に当たって大幅に削ったそうなので、元の単行本版を読もうと思ってる今日この頃です。 削除

2008/9/11(木) 午後 0:54 ねこりん 返信する
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愛が溢れてるレビューですね~。決して「心温まる」感じのお話じゃないのに、優しい雰囲気がずっとありますよね。この独特な伊坂ワールドにこの作品でハマられたんですね。
優午の名前はなるほど、でした。確かに頭がないですね。桜もよかったですよね。とことん悪いやつがいて、その一方で憎めない良い悪人も出てくるのが伊坂さんらしい…。
文庫化では大幅に削られたんですね。単行本はちょっと冗長なとこがあったので、文庫だったらもうちょっと読みやすかったかなぁ? 削除

2014/10/3(金) 午前 0:27 [ sinobu ] 返信する
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>sinobuさん

ブログ開設より前に読んだ本ですが、この本の感想は絶対に載せたいと思って書いたのを思い出しました^^
伊坂ワールド、としか言いようがない雰囲気、デビュー作から全開で、魅了されました。
単行本版は結局読めていないのですが、やはり文庫は伊坂さんの納得できる完成版なのでしょうね。 削除

2014/10/3(金) 午後 8:26 ねこりん 返信する