本棚

さよならの向う側 清水晴木

亡くなった人が生まれ変わる前に訪れる場所「さよならの向う側」 そこではマックスコーヒーを2本持った「案内人」が待っていて、最後の24時間に心残りがないように、最も会いたい人と過ごす希望を聞いてくれます。 しかし、それには条件があって、会えるのは亡く…

にっぽん全国100駅弁 櫻井寛

今日は駅弁記念日だったらしい。 そんな日に読み終わったのがこの本です。 元々駅弁は大好きだけど、駅弁を旅の途中に食べる事はほとんどないです。 旅の食事は休憩を兼ねて落ち着いて食べられる店で食べたいので。 駅弁の良さは地域の名産が必ず入っている…

化物園 恒川光太郎

ケシヨウという人を襲って食べる怪物が、現代や、過去の日本や海外、異世界など様々な場所に出没し、それと戦いまたは共存する人々を描いた作品です。 初めのうちはただ恐ろしいだけだったケシヨウが、別の話では人々を支え助ける事もあります。 ある話では…

黒牢城 米澤穂信

黒田官兵衛はリアタイしていた大河ドラマ「軍師官兵衛」でなじみのある武将です。 だから、その時のキャスト官兵衛が岡田准一くん、荒木村重が田中哲司さんで思い浮かんだのは当然と言えるでしょう。 最初、長編だと思い込んでいたのですが、思いがけず謎が…

THE やんごとなき雑談 中村倫也

ダ・ヴィンチでのエッセイ連載をまとめた物です。ダ・ヴィンチでずっと読んでいたけれど、今回新エッセイ&料理の「やんごとなき雑炊」の連載が始まったので、これを機会に読み直してみることに。 中村さんは何をさせても器用な人で、料理、文章、絵、歌、喋…

100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集  福井県立図書館

図書館でのレファレンス(利用者からの情報を元に本を探す)業務の中で、司書さんが出会った面白い「題名の覚え違い」をまとめた本です。 覚え違い自体の面白さもさることながら、作者の方のさりげないツッコミがまたユニークです。 タイトルの「100万回…

正体 染井為人

一家三人殺害で少年死刑囚の鏑木慶一は、脱獄して世間を騒がす。本人は名前と顔を変えながら日本中を転々とする。様々な職に就きそこで出会った人々を助け、癒していく。 彼は実際に事件を起こしたのか?そしてこれから何をしようとしているのか? wowowで亀…

N 道尾秀介

タイトルを見て、すぐに連想したのがドラマ「Nのために」でも本作のNは頭文字ではなくて、自然数の「n」Nの数だけ人生がある、という意味だそうです。 連作短編6作の冒頭1ページだけを巻頭に載せ、どれから読んでも良いという作者のナビがあります。 私は…

兇人邸の殺人 今村昌弘

剣崎比留子と葉村譲のシリーズ三作目。 これは面白かった!一作目の屍人荘に匹敵する意外な展開でした。 今までの事件の背景で糸を引いていた班目機関が過去に行っていた研究を知った二人と、研究資料と研究成果を手に入れたい成島、彼に雇われた傭兵たちは…

花咲舞が黙ってない  池井戸潤

ドラマでも人気になった花咲舞シリーズ、ついにドラマと同じタイトルになっちゃいました第一弾です。 今作にはいろいろ驚きの展開があって、それに触れずにはいられないので、ネタバレ注意です。 まず、ラスト2話、東京第一銀行では「エリア51」と呼ばれる…

息吹 テッド・チャン

寡作で知られるテッド・チャンの何と二冊目の著書。でも一作目の「あなたの人生の物語」は世界のSF賞を総なめに。私が初めてチャンを読んだのは、本作に所収の「商人と錬金術師の門」。時間SFのアンソロジーで出会いました。アラビアンナイトの世界で展…

新 謎解きはディナーのあとで  東川篤哉

よくぞ帰って来てくれました!と拍手で迎えたくなるこのシリーズ、影山も麗子も風祭警部も変わりなく…影山の毒舌ぶりも健在なら、風祭警部のナルシストぶりも健在。そうそう、風祭警部、国立署に戻って来たんですよ。本庁勤務はやはり無理だったようで。でも…

復讐の協奏曲  中山七里

11月に新作が出ていることに気づかず、慌てて読み始めたお気に入りの御子柴シリーズ、遅読の私が3日で読み終わりました。これほど夢中になって読めるシリーズもなかなかないなあと。電子書籍なので読んだパーセンテージが出るのですが、「え、もう80%…

逆ソクラテス  伊坂幸太郎

伊坂さんには珍しい、小学生の群像劇の連作短編集です。学生に付き物の悩みを取り上げながら、思いもよらない方法で伊坂さんらしく解決していくのが胸がすく思いです。 タイトル作の「逆ソクラテス」一番好きな話です。担任教師の態度によってクラスで低位に…

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。 青柳碧人

初の青柳さんです。名前の読み方も「あいと」だと初めて知りました。童話シリーズ、海外版と日本版どちらにしようか迷って、評判のいいこちらにしました。 童話ってけっこう残酷だったり暗かったりするんだけど、そういうブラックな面をミステリーとして生か…

ムシカ 鎮虫譜  井上真偽

禁足地である笛島に無断で上陸した音大生達が見舞われる災難を描いた、昆虫パニック音楽ミステリーです。こういうふうに書くととんでもない色物のように感じるけど、読み終わった時に感じる感動と清涼感はまるで「蜜蜂と遠雷」のよう。音楽に対する深い愛情…

クジラアタマの王様  伊坂幸太郎

久々に読んだ伊坂さんです。「逆ソクラテス」がミステリベスト10を賑わわせてますが、先に買ってたこちらから読みました。 主人公の岸、政治家の池野内、アイドルの小沢ヒジリの3人には、過去に同じ体験をし、同じ夢を見ているという共通項がありました。…

夜がどれほど暗くても  中山七里

政治家や芸能人のゴシップ記事を上げて来た週刊春潮の辣腕副編集長である志賀倫成は、息子がストーカー殺人を犯した上自殺するという事実を突きつけられます。今までそういった事件を追う側だった志賀は、追われる側となって初めて自分の今までの行動を振り…

一億円のさようなら  白石一文

ドラマに合わせて読み始めたけど、けっこうな大冊でドラマが終わるまでに何とか読み終われました←遅読 主人公加能鉄平が、妻の夏代が48億円もの遺産の持ち主であると知った事をきっかけに家族との関係を見直すストーリーで、妻との過去を振り返るシーンが…

怪奇大作戦ミステリー・ファイル  小林弘利

BSプレミアムでの再放送を楽しんで観ていて、ノベライズがあるということを知って読んでみました。 元々NHK放送のドラマですが、生理的にぞわぞわ来るようなグロ表現や、原初的な恐怖を誘発するようなモチーフの数々はNHKとは思えないほどです。そこが怪奇…

最後の証人 柚月裕子

ずいぶん前にドラマを先に観ていたけれど、原作を読んだ後で改めてドラマも観直し、視点が違う事に気づきました。 ドラマは事件の動機と実施方法が伏せられていて、それが焦点になっていますが、原作では法廷で当然明らかになるべきある事がミスリードされる…

狂骨の夢(電子版第3巻) 京極夏彦

電子版1巻、2巻を読み終わるのに2ヶ月もかかったのに、解決編に当たる3巻はあっという間に読み終わりました。 京極堂がどのように憑き物落とし(解決)をするのかワクワクだったし、今までバラバラだった多くの事件のモチーフがどのように繋がるのか興味津々で…

狂骨の夢(電子版第2巻) 京極夏彦

ようやく2巻を読み終わりました ブロ友さんの、読んでも読んでも終わらないよ、という忠告の通りでしたが、京極さんの文章は読みやすく、読んでいる時はすらすら読めました。単に私が読書時間を捻出できなかっただけです。 ここまでの所で、京極堂が憑き物落…

狂骨の夢(電子版第1巻)京極夏彦

百鬼夜行シリーズにひさびさの復帰です。 いくら何でも前のシリーズ過ぎるだろう、とのツッコミはおありでしようけど、この本の分厚さに恐れをなして、シリーズから離れてしまったんです(^^; でも、いつかシリーズに復帰したいとずっと思っていて、電子図書…

いけない 道尾秀介

アンソロジー蝦蟇倉市事件1に収録の「弓投げの崖を見てはいけない」を元にした一編から構想を膨らませたミステリです。 各編とも、ラストに載っている写真で真相が分かるようになっています…と言いたいところですが、自分がとんちきなせいか、よく分からないの…

シーソーモンスター  伊坂幸太郎

「シーソーモンスター」と「スピンモンスター」の中編二本立てです。 共通なのは、世の中には「海族と山族」がいて、本人は知らなくても因縁の対立をするようになっているという設定。 あと共通の登場人物もいます。でも、ストーリー自体に直接の繋がりはあ…

dele3  本多孝好

ドラマでは何事もないように戻って来た祐太郎だけど、やっぱり妹の事件についてのわだかまりは、原作では簡単には解けません。祐太郎の方も、圭司の方も。 本作は、妹の事件に大きく関わった夏目という人物に迫る「リターン・ジャーニー」と、今まで通りに戻…

魔眼の匣の殺人  今村昌弘

前作で集団感染テロ事件に巻きこまれた葉村と剣崎は、それに関係する班目機関という組織の研究施設を訪れることにした。そこはかつて超能力の研究をしていたらしい。 その研究施設は真雁という地区にあることから「魔眼の匣」と呼ばれ、そこに住む予言者サキ…

ノーサイド・ゲーム  池井戸潤

スポーツ物も企業物も苦手で原作を読むか悩んでいたけど、ドラマの第1回を見て、2回目を待ちきれずに読み始め、遅読の自分にも関わらず2日で読み終わりました。 トキワ自動車の経営戦略室次長の君嶋は、上司の滝川が主導する巨額買収案件に異を唱えた後に…

白骨の語り部 作家六波羅一輝の推理  鯨統一郎

主演の俳優さんが好きだったのでドラマをまず見て、六波羅一輝のキャラに惚れ込んだのですが、ドラマでいくつか納得できないところもあって、原作で確認してみようと思って読み始めました。 六波羅一輝は東大出身ですが、作家になりたくて他の大学に入り直し…