2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

フランクを始末するには  アントニー・マン

ユニークな発想の短編集です。わりとブラックな結末の話が多いのですが、もともとのタイトル作(「マイロとおれ」)のかわいらしさと、全編に流れるそこはかとないユーモア、そしてイラストのおかげで暗い雰囲気にならずにすんでいます。 「マイロとおれ」 …

二流小説家  デイヴィッド・ゴードン

ハリーは、いくつものペンネームを使い分けてジャンルの違う連載小説を書いている、あまりパッとしない作家です。しかし、死刑執行をひかえた連続殺人鬼から、告白本の執筆を依頼されるという大チャンスが彼に巡ってきます。 これは連載小説家(原題 The Ser…

もっと厭な物語(アンソロジー)

「厭な物語」は海外作品ばかりでしたが、続編は、日本の作品が四編入っています。 「『夢十夜』より 第三夜」 夏目漱石 「こんな夢を見た。」から始まる、有名な短編集です。子供を背負って歩く父親が背負っているのは、実は彼の業なのかも。山白朝子(乙一)…

ばけもの好む中将  瀬川貴次

著者の瀬川貴次さんは、ホラー作家の瀬川ことびさんです。歴史物もいろいろ書かれていますが、これは私の好きな平安物の連作短編集です。 右大臣の子息である左近衛中将宣能(のぶよし)は、才色兼備で宮中の花形です。しかし、彼には「ばけもの好む中将」と…